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南関東文科大学 タイムカプセル発掘隊 第四話 企業内要塞学校(2)

   

草尾たちからの依頼は、国家機密に関わる、極めて危険が大きいと予想されるものだった。しかし、「犯罪」の証拠を掴まれている松下たちには、断ることもできない。

渋々了解した松下たちは、「安全」に、任務をこなすための場所の選定に入っていくのだった……

 

「理事長先生、これは、どうされました」
 松下は姿勢を正し、理事長の浦口に向かって深々と一礼した。
名前と絡めて、「裏口理事長」と陰口を叩かれているこの老人の評判は、決して良いものではない。
 不透明な金のやり取りや、せっかくのプールしている資金を、リスキーな投資に当て込んでしまい、大損を出すなどの手クセの悪さは、この学校に存在する主要リスクの一つにすらなっている。
 松下としても、内心ではさっさと退任してくれればいいぐらいには思っているが、私立学校は「企業」であり、自分たちはそこに間借りするような形で、ヤバい仕事をさせてもらっている以上、絶対に反感を持たれたくない。
 そのため松下は、上層部の人間に対しては、常に丁重な態度を取ることにしていたのだ。
 そのことを知ってか知らずか、浦口もまた、深々と松下たちに向かって頭を下げてきた。
「仕事、のご依頼でしょうか」
 松下は、草尾に向かって声を発した。草尾は小さく頷く。そして、松下に向けて、強い視線を向けるのだった。
「恐らく君たちの学校でも話題になっていると思うが」
 草尾の声は、低く良く通る性質のもので、迫力があった。
 威圧的な意思はまるで感じられなかったが、もし彼がその気なら、この部室にいるほとんどの人間を脅すことはたやすいだろう。
「狙撃事件がこの町で発生した。頭部を撃ち抜く見事なもので、プロでなくてはなかなかこうはいかんという射殺事件だった。犯人は無差別型の襲撃犯とは程遠い、本来落ち着いた精神性の持ち主で、既に拘束されている。この情報は、迷惑をかけたお詫びではないが、事件の公式発表と同時に、大学の新聞部へ知らせる。大学の新聞部が、スクープをものにすることになるな」
「ほっ、本当ですか!? 良かった! これで安心して学校に通うことができます」
 松下は思わぬ朗報に快哉を上げた。
 しかし、草尾たち来訪者は、表情を和らげることはなく、むしろ眉間にシワすら寄せて、真剣さをいっそう色濃く、前面に押し出してみせた。

 

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