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南関東文科大学 タイムカプセル発掘隊 第四話 企業内要塞学校(3)

   

 シュウの手腕のおかげもあって、松下たちは無事に「白波」に潜入することができた。
 発掘研メンバー以外にも、一般の学生を大量にダミーとして盛り込んだ、合計七十人という大人数である。

 潜入の情報収集のため、図書館に配属されることになった松下たちは、人当たりはいいものの、クセの強そうな社員の小倉とともに働くことになる……

 

「君たちが、ガクソから来た子たちだね。松下君、か。どうぞよろしく」
 松下に向かって語りかけた、面接官の四十代ぐらいの男は、そう言って、顔にうっすらと笑みを浮かべた。
 厳しく人を見る、審査する類の雰囲気を、テーブル越しに感じることはない。
 もっとも、会社側のその対応にも、理由があった。
 松下たちは、大学の中が色々と混乱していて、講義が満足に行われていないことを理由に、本来、夏か冬の休みにしか入れられないような長期のバイトを、「インターン扱い」で請け負ったのだ。
 会社側からすれば、雇用ではなく、「実習」枠として、最低賃金に満たない額で、大学生という若い労働力を使うことができる。
 それも、七十名という大人数であり、しかも、大学内とは言え、司書や事務などのバイトをしたことがある人間が大勢を占めるとなれば、会社側としては使わない手はないだろう。
 場合によっては、頭を下げてでも受け入れたい条件のはずだ。
(まったく、大したものだぜ)
「班長」として説明を聞きながら、松下は隣に立っているシュウに、畏敬と羨望の視線を送った。
 ここまで大きな話をわずか三週間でまとめたのは、シュウが、学生組織互助会、通称「ガクソ」の上層部に、「スキャンダル問題の混乱の影響を受けている学生を救うために、大々的にインターンを募集している、学生に理解のある企業を探して欲しい」と依頼し、組織を動かしたからだ。
 もちろん、「ガクソ」の上層部の人間には、多額の「謝礼」が渡っている。「謝礼」を秘密裏に渡したからこそ、全面的な協力が得られたのだ。
 さらにシュウは、大学側をも動かした。
「講義が十分にできていない不手際」を指摘して、「不十分な状態で人を見るのではなく、代替的な方策を」と、秘密裏にうったえかけたのだ。
 既に、権力と金を握っている浦口理事長から、「仕事」に対する全面協力は取りつけていたので、松下たちの潜入ミッションは、大学の名誉挽回につながる秘密を得るための行動ということになった。
 単位獲得についても、全面的な承諾が得られた。
 企業への「インターン」に出向くことで、その間の講義は出席扱い、試験も免除という形の優遇措置が取られるのである。

 

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