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南関東文科大学 タイムカプセル発掘隊 第四話 企業内要塞学校(6)

   

カラオケボックス内での「爆弾騒ぎ」にもめげず、松下たちは、潜入のための情報収集に励んでいく。

思いつきをきっかけに、新たな種類のデータの採取にも成功し、意気上がる松下だったが、突然の悪い知らせを聞かされることにもなる。

状況がますます厳しくなる中、松下はどんな選択をするのか……?

 

「怪我はありませんか?」
 シュウが冷静な声で呼びかけてきた。周りを見回してから、松下は口を開いた。
「大丈夫だ。誰も怪我はしてねえ。騒ぎにもなっていないようだな」
 誰かが松下たちの部屋の様子を覗きにきたという形跡はない。
 全てのカラオケルームが完全な防音で、窓もなかったことから、爆発のことは、周囲には伝わっていないようだ。
 外に出ている者もおらず、通路は平穏そのものだった。
 若い女性従業員は、気配すら残さずどこかに消えていた。
(『密室』が、襲撃者にとっても有利になったわけか)
 松下は、わずかに眉をしかめながら、慎重にドアを開けた。二次的な仕掛けが用意されていたわけではなかったようで、再び爆発が起こるようなことはなかった。
「なっ、なによっ……! これはっ!?」
 代わりに千夏の怒声が響いた。
 反射的に耳を塞いだ松下だったが、机の上に置かれたものの「異変」には気づくことができた。
(なんだ、こりゃ……?)
 机の上に置かれていたのは、爆弾などではなかった。
 白い台形状のものは、容器に入れられたライトであり、ダイナマイトのような円筒状の代物は、携帯用のマッサージ器具だった。
 それらがひとまとめになった状態で、ぴかぴかと光り、音を立て震えている。
「時計の針が『12』を指すと、スイッチが入るというだけの、簡単な時限装置が使われているようですね。単純ですが、視覚的には強力なトリックです」
 シュウが、目の前で動いている珍妙な物体をすかさず分析し、二つのスイッチボタンを押した。
 物体はぴたりと動きを止め、健康器具と懐中電灯として、テーブルの一画を占めていた。
 映画で見るような爆弾にあるような、禍々しさや威圧感などは微塵もない。

 

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