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南関東文科大学 タイムカプセル発掘隊 第四話 企業内要塞学校(9)

   

社員の指紋を採取したシートを指に巻き付け、認証システムを誤認させることによって、扉を突破することに成功した松下たち。

だが、扉の向こうにある非常階段は、先行く者たちに設置された罠によって、極めて危険な地帯と化していた。

自動作動式の装置によって動くライフルによって、松下たちは、戦場を思わせるような銃弾の雨に晒されることになるのだった……

 

 
……認証完了。通過を許可します……

 松下がドアに、指紋シートを貼った指を押し付けると、数秒ほどしてから、美しく無機質な声が響き、扉がゆっくりと開いた。
 松下たちを「警備担当者」と誤認したのだ。
 松下は、小さくガッツポーズしながら、扉があった場所を抜け、階段を駆け上った。
 新藤たちも全速力で松下の後にぴたりと続く。
 この手の個体認証システムのを使う場合、当然一人ずつ認証が行われる形になるが、律義にシートを使い回し、待っている時間はない。
 だから、扉が閉まる前に全員でなだれ込まざるを得ないのだ。
 強引な突破の勢いのままに、松下たちの一団は、非常階段を突進していった。
 かんかんという、金属の板を踏み鳴らす、いくつもの鋭い音が、閉鎖された狭い空間の中を反響していく。
 息を軽く切らしながらも、松下は皆を鼓舞するために声を上げた。
「このまま一気に行く。大分距離を開けられちまっているだろうからな。少しでも詰めて、見失わないようにしないと……」
「おいっ……!」
 松下の言葉を沢口の怒声が遮った。
 それとともに松下の体は、大きく横に飛ばされた。不安定な階段の上でするには、あまりにも危険な動きである。
「何するんだっ! 悪ふざけはよしてくれっ!」
 松下は怒声を上げつつ、左から走り込んできたはずの沢口の方を見やったが、沢口は、何かをこらえるような前屈みの体勢で、悪さをしてきたにしては、あまりにも真剣過ぎる表情をしていた。
 歯を食いしばり、血走った目で正面を見やっている。
 その気迫の凄さに、咎める立場の松下も、かなりの圧力を受けた。
「お、おいっ。一体どうしたって言うんだよ。あ、危ないだろっ……」
「し、静かに……! 静かに頼むぜ。皆、足音を立てないでくれ。驚いてもダメだ。狙撃手が目を覚ましちまうんでな」
 沢口が指差した先、数十段ほど上のステップの天井から、数本のパイプのようなものがつり下げられていた。
 鈍く黒光りするそれらのパイプの先端は、全て松下たちの方を向いており、パイプの端には、何かの箱が付属している。

 

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