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星物語<10> 彗星の話

   

星をテーマにした、ほんの短い小説です。ほんの少し、心に残っていただければ……。

 

 女は七年の旅を重ねて砂漠に着いた。
 さらに七日をかけて砂漠の中を歩む。
 夜、月はない。
 満天に星が輝いている。
 ひときわ明るい星が二つ並んでいる。
 並んだ星の先の方に目を向けると、彗星が見えた。
 女は、正しい時に正しい場所に着いたことを知った。
 その彗星は七十七年ごとに巡ってくる。
 彗星の尾がいちばん長くなったとき、この砂漠で、女は男と会えるはずであった。
 永世の約束。
 毎晩、彗星は大きくなっていった。
 だが、男は現れない。
 彗星が小さくなり、消えるまで、女は待った。
 そして彗星が消え、新月が夜空に現れたとき、女は砂漠を去ることにした。
 何かの都合で来られなかったのだろう、と女は思った。
 女自身も、これまでに十回、ここに来ることができなかったのだ。
 また七十七年後、ここに来て待てばよい。
 それで逢えなければ、また七十七年後。
 いつか必ず巡り合うことに、些かの疑心も抱いていない。
 二つの魂が、彗星の下で一つになる。

 

─Fin─

 

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