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南関東文科大学 タイムカプセル発掘隊 第四話 企業内要塞学校(16)

   

密閉された部屋に閉じ込められ、その中にドライアイスが噴射されていくという罠に直面した松下たち。このままでは、室温の急激な低下と酸素不足に見舞われ、深刻な状態に陥るのは明らかだった。

松下は、部屋の中に存在した液晶画面に出されたクイズを解き切るために奮戦したが、全ての問題に解答し終わったところで、またも予期せぬ状況に追い込まれていくのだった……

 

 何の家具も装飾品も用意されていない、無機質な部屋の中に、もうもうとした白い煙がたちこめていく。
 煙は、吸ってもすぐには害はないようだが、ひどく冷たく、毒の有無とは無関係に、このまま晒されていたら命の危険もあることは、すぐに分かる。
 松下は、床に伏せるようにしゃがみ込んで、煙の出所はどこか、観察した。
 しかし、煙は、天井に設置された無数の穴から均等に流れ出ているようで、一つ二つ塞いでも、どうにかなるような雰囲気でもない。
「ドライアイスですね、これは……!」
 シュウが、皆の動揺を収めるような強さを声に滲ませて語った。慌てた様子はまったくないが、松下たちと同じように、深刻な表情をしている。
「ドライアイスって言うと、TVとかの演出用に使われるアレ?」
 千夏の言葉に、シュウは深く頷いた。
「ええ。スモークですよ。しかし、楽観視はできません。ドライアイスは二酸化炭素。高濃度の二酸化炭素が空気中に混ざっていくのを放っておけば窒息してしまいますし、そうでなくても凍死の危険があります。どうやら固形のドライアイスを冷え冷えのまま、スモークに変えただけのものらしいので」
 シュウの声は冷静だが、置かれた状況は深刻だった。
 息ができなくなってしまえば、体力が余っていようと死ぬしかなくなるし、これだけ体力が落ちている状況で、体温が奪われて行くのもまずい。
 恐らく、通常のデッドラインよりもかなり手前のところで、吸血生物たちに、特にきつくやられた松下や新藤は、動けなくなってしまうだろう。

ウィィィー、ン

(なっ、何だ!?)
 狼狽しかけた松下に呼応したかのように、部屋の中に、小さな駆動音が響いた。
 自動的に閉じられた扉の中央に、ノートパソコンを一回り小さくしたぐらいのサイズの端末がせり出てくる。
 ただ、通常のキー配列とは違い、一から十までの数字と、数種類の記号が打てるだけのキー、そしてエンターキーしか備わっていないようだった。
 何事かと松下が目を凝らしていると、ひとりでに電源が入り、暗かった液晶に文字が浮かび上がってきた。

 

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