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SF・ファンタジー・ホラー

秋の訪れ

   

「夏の終わり」の続編、佐渡修平視点の話になります。

照美の一件が解決して地元に戻ると早速個人指導の指名が入る。
相手はオーナー夫人の洋子で、その日は異様な程女である部分をアピールしてくるが、修平はそれを断ってしまう。

 

8月中旬、想定外の事故があり、予定していたバイト収入が2週間近く手に出来なくなった俺は、実家近くに最近出来たスイミングスクールのインストラクターとして働くことになった。
9月を少し過ぎた、まだ残暑厳しい日の事、はじめて受け持ったクラスの指導を終え、ひとりゆったりとコースで泳いでいた。

「見ない顔ね、新人さん?」

パッと見た感じ30代後半くらいのスレンダーな女性がプールサイドに姿を見せ、俺に声をかける。
見上げた俺は簡単に自己紹介をすると、その女性は――

「ねえ、個人指導にあなたを指名したいんだけれど、駄目かしら?」

面接の時、受け持つ高齢者向けのクラスには時折時間外の指導を望む人も多い、受け入れるかは個々に任せるが、本来の仕事はクラス単位である事を念頭に過密スケジュールにならないように……という説明を受けていた。
まさか俺にそんな依頼がくるとは思わず、すぐ返答しきれないでいると、

「確かひとクラスで5千円くらいだったわね。30分単位で5千円払うわ。どう?」

それが日野洋子と俺、佐渡修平の出会いだった。

 

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