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南関東文科大学 タイムカプセル発掘隊 第四話 企業内要塞学校(18)

   

「白波」の特徴と、小倉から言われたことを頭の中で統合し、松下は、何とか四ケタの暗証番号の入力に成功する。
 しかし、その後も、相次いで罠が襲いかかる。
 任務の達成は見えたものの、松下たちはいよいよ追い詰められてしまった。

もうダメかと思われたその時、意識を回復したシュウが、一つの衝撃的な提案を口にするのだった……

 

8、1、4、0、

 松下の指は、素早く正確に、四つの数字を叩いた。
「よっ、よせっ! 破れかぶれなんて通じるような罠じゃないぞっ! 退けっ……!」
 樫田が必死に制止にかかったが、松下は、樫田に体を掴まれる前に、「入力」キーを押し込んだ。
 すると、数秒の間を置き、巨大な駆動音が鳴り響き、巨大な扉が、ゆっくりと開かれていく。
 扉の先には、六畳一間ほどの空間と、分厚い扉、そしていくつかの表示板と液晶端末が設置されている。
「い、一体これは、どういうことなんだ」
 衝撃からか、へたり込みそうな体勢になっている樫田が、弱々しく声を出した。
 松下は、にいっと笑って、自信満々に応じる。
「あてずっぽうじゃありません。確信があったんです。実は、私は、ここに来る前に仲間から、ある情報を仕入れていたのです。ここの機密を獲得するには、『ハイシ』、あるいは、『ハイシン』が大事だと。私には彼が何を言っているのか、どうすればいいのか、まったく分かりませんでした。『廃止』か、『背信』か、あるいは、『配信』、いずれを目指すにしても、まるで違った材料が必要になってくるからです」
「そうだな。ハイシンがどうとかって話は、我々軍関係者も耳にしていた。しかし、そのことがどうして、迷いのない数字入力につながるんだ?」
「入力画面を見て、確信に至りました。この社特有の性質が、機密保持にまで及んでいるとしたら、そしてその特徴が言葉と絡んでいるなら、正解は一つです。将棋の盤と、駒の数ですよ。将棋は、縦横九マスずつ、合計八十一のマスを使って競い合うゲームです。そしてその際用いられる駒の総数は、両軍合わせて四十枚。これを当てはめていくと……」
「なるほど。8、1、4、0の並びで、『ハイシ』、あるいは『ハイシン』って呼び方になるわけか」
 樫田の問いに、松下が深々と頷くと、木材色に顔を染めた兵士たちから、低い、感嘆の声が上がった。
 しかし、松下には、賞賛に酔っているような時間はない。
 いつ敵が攻めてくるか分からないのだから、できるだけ素早く、目標を達成する必要がある。
「急ぎましょう」
 松下は、兵士たちを急かすように言って、「部屋」の中に足を踏み入れた。
 扉と開閉装置以外見当たらない、殺風景と言うよりも不自然な空間の中で、松下たちは、さらに特殊なタッチパネルを発見した。
 液晶板の中に、九かける九のマスがあり、盤の上には、何枚かの駒が備わっている。

 

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