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南関東文科大学 タイムカプセル発掘隊 第四話 企業内要塞学校(19)

   

銃砲撃の影響で、校舎は崩れ落ち、地面に落下していった松下たち。しかし、地面には極めて強力な衝撃吸収材が敷かれており、命を落とすことはおろか、怪我をすることもなかった。あの無数の銃口は、敵を迎え撃つためだけのものではなく、事情を知っている味方を、正解ルートへと案内するものでもあったのだ。

クッションが敷かれたスペースの中で、松下は怪しげな木の柱を発見する。その柱の根本には、松下たちが目的としていた、様々な機密がくくりつけられてあった。

松下たちは、任務の達成に歓喜した。しかし、なおも危険な刺客たちは、松下たちを狙っていたのである……

 

(これ、は……)
 落下していく過程で、松下は、不思議と、降下速度がゆっくりになったように感じた。
 走馬灯と同じような効果だとは分かっていたが、落ち着いた分だけ、顎を引いて、背中を丸める「受け身」の格好を取ることはできた。
 もちろん、どんな体勢を取ろうと、この高さから地面に叩きつけられれば、関係ないという状況ではあるが、それでも、やらないよりはマシというものだろう。
 松下は、落ちて、落ちて、落ちて、そして地面にぶつかった。しかし、叩きつけられたはずの地面の感触は、異様なまでに柔らかかった。
 粘り気のあるゼリーのような感じで、沈んでいくうちに、完全に衝撃は吸収されてしまったようだった。
 地面に「着地」してから数秒後、松下の体が、やけに柔かい地表に腰まで浸かったところで、一旦降下はストップした。
「な、何があったんだ……!?」
「助かった、みたいだな。さっきの銃撃は、俺たちをここに導くためのものでもあったらしい。と、なると、ここが本当の目的地ってことになるな」
 すぐ隣から、樫田の声が聞こえてきた。
 振り向くと、樫田の逞しい体が、腰のあたりまで、黒色のゼリーのような物体に埋まっている。
 思い切り足を下に送ってみると、足の裏に、硬い土の感触があった。
 どうやら、松下たちは、異常に柔らかく、しかも湿り気に富んだクッションによって、命を落とさずに済んだらしかった。
 周囲を見回してみると、バラバラになった校舎の残がいは、あちらこちらに見えるものの、十メートル四方ほどの広さの区画には、教室があったような形跡はない。
 どうやら、今、松下たちがいるのは、校舎の一画にぽつりと設計された、中庭のようなスペースらしい。

 

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