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南関東文科大学 タイムカプセル発掘隊 最終話 埋蔵された巨謀(2)

   

正体不明の襲撃者に連行された松下たちは、車で運ばれ、さらにそのまま船に乗せられる。

船旅の末に到着したのは、松下たちが今まで行ったことも見たこともない島だった……

 

「くそ……っ」
 松下たちは、なす術もないまま、車に詰め込まれた。
 目隠しをされ、おまけに耳栓までねじ込まれてしまったため、どこを走っているのか分からない。逃げる意思はそもそもなかったが、手首と足首に錠をかけられてしまったとあっては、身動きすら難しい。
(焦っても、仕方がないな……)
 松下は、座席にどんと背中をぶつけ、新藤と千夏に合図を送った。
 二人は松下と同じ動きをしてから、目を閉じたようだった。
 もしかすると、心身を消耗させることも、相手の計算の中に入っているかも知れない。
 だとすれば、目隠しされていることでもあるし、いっそ徹底的に体を休めた方が、後々のためにもなるというものだ。
 新藤たちが眠ったことを確認してから、松下も、無理やり意識を切った。

 やがて、車のエンジン音が止まり、より緩やかで、大きな揺れに取って代わった。
 静かだが、不規則でどこか浮遊感がある。
 今まで何度も遊覧船に乗ったことがある松下は、これが、水面を進む船の揺れなのだと察した。
(俺たちは、車から出てない。ってことは、カーフェリーか)
 誰とも喋れない状況下で、松下は連れて行かれる先の「アタリ」をつけていた。
 車がそのまま搭載できるタイプのカーフェリーとなれば、個人用のクルーザーよりもはるかに大きい。
 すなわち、遠洋を航海するのに向いているということだ。
 また、行き先にある港も、ある程度しっかりした規模だろうと考えることができる。
 そして、人を無理に連行している以上、この船は、敵の所有か貸し切りか。
 もしばれたら、逃げ場のない袋のネズミになってしまうことを考慮すると、無造作に一般のフェリーに乗り込むことは難しい。
 もし占有物でないフェリーから、松下たちを車ごと海に投棄するにしても、船長をてなづけるぐらいの力は必要だろう。
(遠くの島か……。かなりヤバい連中がバックについているか……)
 松下は、半ば眠った意識をフルに働かせて、相手の出方をうかがった。
 何かあればすぐに反撃しようとは思うものの、打開するだけの方法がないことも事実だった。
 幸い、あの見るからに危険そうな連中は、松下たちに一切手出しはせず、船が動き出してからしばらくすると、車から出て行ったようだった。

 

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