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SF・ファンタジー・ホラー

ノエル 〜憧れを未来に託して〜 壱

   

冬休みを母の実家で過ごす事になった主人公の郁巳は、祖母に蔵の掃除を頼まれる。
午前中の掃除を終え、目についた書物を読んでいると次第に眠気に襲われ――目が覚めると、平成の世とは違う日本にいる自分に気づいた。
果たしてここはどういう場所なのか…

クリスマス企画作品です

 

2012年12月23日、母方の実家である長崎で朝を迎える。
二学期の終業式が終わり教室から校門のある方の外を見ると、手を振っている母親の存在に気付き慌てて下校、そのまま停まっていたタクシーに押し込められ羽田空港へ、瞬く間に機上の人となり――という慌ただしい流れで長崎に着いたのは昨日の夕方より少し早い時間。
空港には70半ばになる祖母が出迎えてくれて、そのまま祖母の運転する車に乗って母の実家に辿り着いた。
つーか、別にそこまで急ぐ必要ないんじゃね? みたいな意見はもちろん言った。
言ったが、別に問題なく来れたんだからいいじゃないとしれっと言い返される。
女手ひとつで息子を17年育てると、母親も強くなるものなんだとしみじみ。
正しく言えば、父は生存しているし離婚もしていない。
ただ母が日本以外で暮らす気はないと言い張って、父はひとり寂しく海外に単身赴任中。
かれこれもう10年位になるんじゃないだろうか。
最初はよく帰国してくれていた父も、僕が成長する度に帰国の回数が減り、今では年に1回帰国すればいい方で、去年は帰国がなかったから夏休みを命一杯使って父の元でバカンスを楽しんだ。
母はどうもそれが気に入らなかったらしい。

「郁巳はママよりパパの方が好きだったのね。勝手に海外勤務決めてママをほっぽり出すようなパパがいいのね」

なんて延々と泣かれた。
そりゃ、僕を育てるという事を母に押し付けた父が許せないっていうか、そっちに息子が行っちゃう寂しさのようなものはわからなくもないけど、僕自身、海外留学とか全く考えていないし、日本の大学に行って日本の企業に就職してと考えている。
ま、そんな流れで母は父へのあてつけのような感じで冬休みはずっと母の実家で過ごすという事に決まっていた。
1日でも早くそうしたかったんだろうとは思うけど、学生服で飛行機乗る恥ずかしさと言ったらもう……僕の17年という人生の中でダントツ1位だよ。

 

-SF・ファンタジー・ホラー

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