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SF・ファンタジー・ホラー

想い降る空は

   

俺は雨が嫌いだった。
ただ嫌いというわけではなく、生理的に受け付けないのだ。
曇りの日、俺は雨を予感して、通りかかった喫茶店に避難した。

 

 鈍色の雲が天を覆いはじめた。
 湿った生ぬるい空気が頬を掠め、街の埃を巻き込んで通りすぎてゆく。
 一雨きそうだった。
 俺は慌てて周囲を見回す。すると、少し先に高層マンションの一階にくっついている喫茶店が見えた。
 俺はその喫茶店へと駆け込み、窓側の席に腰を降ろす。
 愛想の悪い店主の女にホットコーヒーを注文すると、俺は窓の外から空を見た。
 雲が重そうな色を増し、今にも降りだしそうに見える。
 俺は雨の日は嫌いだ。
 本当に嫌いだ。
 大っ嫌いだ。
 例え傘をさしていても、雨粒に少しでも当たるのが耐えられない。
 …子供っぽいとは判っていても、透明な粒が天から降り注ぎはじめると俺はイライラしてしまい、周囲に人間にあたってしまう。
 だから梅雨の時期になると、俺は特に社内で嫌われ者となった。(普段からそれほど人気者でもないのだが)

 

-SF・ファンタジー・ホラー


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