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南関東文科大学 タイムカプセル発掘隊 最終話 埋蔵された巨謀(6)

   

工藤に要求を突き付けられ、松下たちはリング上での試合を強いられる。

工藤の「刺客」である藤原 今日子は、一見小柄で細身の少女だったが、恐るべき実力を持っていたのだった……

 

「さあっ、本日のお楽しみマッチだ! 急きょ、新入りが参戦を熱望してきた。ナリはいまいち頼りないが、根性のある男だ。そんな新人、新藤 俊二に対するのは、これまた本日初お目見えの女の子、藤原 今日子! 性別を超えたこの戦い、果たして勝つのはどちらかっ!?」
 リングアナが声を張り上げ、観客を煽っていく。
 場内を埋め尽くすギャラリーは歓声で応じ、スクリーンには、メインイベント以上の賭け金が積み重なっていった。
 松下は、嘘八百を平気で口にしているリングアナの口上に舌打ちしながらも、赤コーナーで、青ざめた顔をしている新藤に向かって、大声で支指示を飛ばす。
「落ち着けっ。大丈夫だ。ヒジヒザなしのキックルールで、これだけ分厚い防具をしていりゃあ、怪我の心配なんかねえよ。ほら、相手を見てみろ。一丁前に格好付けちゃあいるが、お前よりもずっと小さい女の子じゃねえか。一発入れたら全てケリが付くはずだ」
「そ、そうかな……」
 松下がどんなに激励しても、分厚い強化プラスチック製のヘッドガード越しに見える新藤の顔は青ざめたままだ。
(無理もねえよな)
 と、松下は、青コーナーを見やりながら、しみじみ感じていた。 喋っていることとは正反対の印象が、松下の頭を支配している。
 青コーナーに詰めている少女は、小柄な新藤よりも、さらに頭一つ分は小さい。
 体格も華奢で、本来、成人男性が全力で攻撃してはいけないレベルの肉体の持ち主だということが分かる。
 しかし、手足を完全に覆った、ゆったりとした濃紺の道着を身に着けている少女の周囲からは、ただならぬオーラが滲み出ている。 見知らぬ男と試合をするというのに、まったく緊張した様子も見せない態度と言い、明らかにただ者ではない。
 もっと言うと、一応心得のある男と戦力的に釣り合う少女である以上、経験や技術的な意味で、「普通」で済むはずはないのだ。

 

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