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南関東文科大学 タイムカプセル発掘隊 最終話 埋蔵された巨謀(7)

   

なし崩し的にマッチメイクされた今日子との試合のため、松下は激しいトレーニングに取り組み始めた。

島独特の地形を活かし、さらには仕事の時間まで訓練に利用するという熱心さが功を奏し、松下の肉体は「外」にいた頃よりもずっと強大に鍛え上げられつつあった。

しかし、またも口を挟んできた工藤の圧力により、松下たちは、今の「仕事場」を離れ、地下の特別な発掘場へと飛ばされることになるのだった……

 

「はいっ、足をっ、もっと速く動かす。息をしないで、顎を引いて!」
「ぬうっ、ぬあああああ!」
「フ、ファイト……!」
海岸沿い、作業員たちの「レジャー」用として開放された一画に、松下の吠えるような声が響く。
 波打ち際のおよそ二百メートルほどの直線を、千夏や新藤からの声援を受けながら全力疾走を繰り返すのが、今の松下にとって、もっとも比重を置いた練習メニューだ。
 整備されたゴム敷きのトラックを走るのに比べて、深い砂と波の抵抗を受けながら走るのは、はるかに持久力とパワーを要するが、場所によって、猫の額のように性質が無数に異なるこの海岸の中でも、今走っている直線帯を占める土は、際立って粘り気が強く、吸水性が高い。
 下半身をとことんいじめ抜くようなトレーニングをするには、まさしく最適な場所と言えるのだ。
「前後左右にフットワークポジション。体をもっと揺さぶって、敵の存在を忘れないで!」
「おおうっ!」
 松下は、千夏の指示に即座に反応し、左足を前に出して、体を半身にずらし、ファイティングポーズを取った。
 そのまますり足で前後に動き、上体を揺さぶりながら前傾体勢を取る。
 疲れ切っているが、一応きっちりと足は動く。
 動くことどころか、粘り気の強い土の抵抗のせいで、足元をすくわれ、ころころと転んでしまった、二週間前のことを考えると、驚異的な進歩である。
 だが、まだまだ足りない。ここで自在に蹴りを出し、キックボクシングスタイルのシャドーを三十分は続けられるようにならなければ、どんなに甘く見積もっても、目標に対して及第ということにはならないだろう。

 

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