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南関東文科大学 タイムカプセル発掘隊 最終話 埋蔵された巨謀(8)

   

地下の特別採掘場に飛ばされた松下たちを待っていたのは、今まで経験してきたのとはまるで違う、危険かつ過酷な作業だった。

採掘場を仕切っている、上岡と名乗る、カタギには見えない男は、この島の本当の外貨獲得資源となっている物品、軍事物資の発掘を行っていた。

安全な作業を割り振られたこともあり、どうにか一日の作業を終えた松下たちだったが、作業終了後に、上岡から、さらなる地下行きの誘いを受けるのだった……

 

 松下は、呆然としたまま、爆風に煽られ、人が空中に投げ出されていく様を眺めていた。
 新藤からも千夏からも、本来上がるべき悲鳴は聞こえてこない。 驚き過ぎて、言葉を忘れてしまったかのようだ。
 一方、まるで中世の重装歩兵のような、仰々しいアーマーを着けている作業員たちは、無関心のために声を上げない。皆黙々と作業を続けている。
「てめえらっ、また下手こきゃあがったな。あれほど地雷には気を付けろって言ったことを、もう忘れたってのか!?」
 奇妙な沈黙に支配された空間で、つい最近聞いたことがあるような怒声だけが響いていた。
 広々とした肩幅を、一層強調するような、鋭角的な肩当てと三又の槍を思わせる装飾をヘルメットの上に着けた、他の作業員とは違うアーマーを着込んだ巨漢が、物凄い速度で爆発音の出元に駆け寄り、空中から落ちてきた作業員たちを全員逃さずにキャッチする。
 そして、彼らの顔を手の甲ではたいていった。
 ぼこん、と、大きなブロックを落として、車のボンネットをへこませたような、破壊的な音がいくつか連続して、一番強く張られた作業員の顔のプロテクターが吹き飛んだ。
 中から出てきたのは、松下と同年代の、若い男の顔だ。眉毛をほとんど完全に剃り上げ、髪をパンチパーマに巻いた、いかにも人工的に作られた感じの強面が、申し訳無さと恐怖で歪んでいた。
 若い男はせきを切ったように話し始める。
「ひいいっ、か、勘弁して下さいっ。見えなかったんですっ。この土が邪魔していけなかったんですよ」
「阿呆かっ。見えなかったじゃねえだろう。そこを見るのが仕事なんだろうが。てめぇ、何年ここに張り付いていやがるんだっ。やる気がねえなら、とっとと別のところに行きやがれ」
「ひいっ、ひいいい……」
 巨漢は、怯える男にさらにたたみかける。
「それが嫌ってんなら、その頭の中に、原則ってもんを、もう一度叩き込め。防具を着けるための頭じゃねえって、いい加減分かったどうなんだっ!」
「はっ、はいいい……」
 巨漢に抱き抱えられた状態で、パンチパーマの若者は、何度も頷いた。
 巨漢は、剣幕とは真逆とも言えるほどのソフトさで、若者たちを手近なところに寝かせると、「ふうっ」とほっとしたように息を吐いた。
「まったく、オヤジももう少し適性ってもんを考えてだな……んん?」
 ぼやき始めた巨漢が、松下の方に向かって歩いてきた。首をかしげ、怒っているというよりは腑に落ちないといった態度である。

 

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