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南関東文科大学 タイムカプセル発掘隊 最終話 埋蔵された巨謀(10)

   

「島」との一戦で、予期せぬ大敗北を喫した攻撃者たちは、そのプライドを取り戻すべく、さらなる大規模攻撃を計画していた。

一方で、「島」の内部にいる松下たちも微妙な立場にあった。

そもそも、先日の攻撃は、今日子の知り合いによるものらしいが、当初通達があったものとはまったく違っており、今や、外からの救出はまったく期待できないどころか、再び死闘に巻き込まれてしまう危険性もあった。

そこで松下たちは、何とか独自での脱出の糸口を見出すべく、「一級ID」カードの入手を目指すのだが……

 

 日の光が全く入らないように設計された地下室。
 人々に、堂々たる威容を示している地上部を見る限りでは、こんなフロアが設計されているなど、まるで想像できない。
 いや、今や実質的な国連機関として認知されている「地球圏統一会議」の本部ビルの地下に、謀略にはうってつけのフロアが用意されているなど、誰も考えないだろう。
「地球圏会議」のやり取りは、本来、今までの国際機関の常識を覆すほどに、まっすぐでオープンなことで知られているのだ。
 もっとも、フロアを使っているのは、「会議」のメンバーではない。
 いかめしい軍服や、黒服を身に着けた男たちである。
 皆、高級軍人とは違う、「現場」の匂いを過剰なほどに漂わせており、中には、本職のマフィアにしか有り得ない、危険な雰囲気をまとっている者も少なくない。
 巨大な円卓につき、配布された極秘資料やスクリーンに現われるグラフを見る男たちの表情は、一様に硬く、暗い。
「……これ以上、細々としたことを言う必要はないだろう。当方の被害は甚大、敵方はほとんど無傷。大敗を喫してしまったというわけだ」
 集まった男たちの中でも、飛び抜けて年齢が高いように見える老人が、重々しく口を開いた。
 顔中にくまなく深いシワが刻まれていて、髪も眉毛も全て白い。 しかし、肌には若者のようなツヤがあり、中髪に切り揃えられた白髪の量は多く、しっかりとしたコシがある。
 見ようによっては、青年が老人になりすましているようにすら思える。
 異形の巨漢だった。
「この際、チャチな無人機と小型機の損害は無視しましょう。問題は、駆り出された我々『騎兵隊』を筆頭に、人的被害があまりにも大きかったことだ」
 四十代に達しているかどうかという、それでも白髪の老人からすれば、ひ孫ぐらいにしか見えない男が、よく通る声を発した。
 ナイフのように細く鋭い輪郭と顔のパーツを有していながら、肉体は、岩のように分厚く大きい。
 彼もまた、異形の男だった。

 

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