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南関東文科大学 タイムカプセル発掘隊 最終話 埋蔵された巨謀(11)

   

一級IDを手に入れた松下たちは、限られた人間しか入れない区画に足を伸ばしていった。

作業道具が点在する以外は、きわめて高級な雰囲気を漂わせる地下区画を進んでいく松下たちだったが、突如としてその区画は崩れ、落下した先で、見たこともない獣に襲われることになるのだった……

 

 一級IDで行けるようになった場所は、その多くが地下で、カードを壁の隙間に差し込むことで、隠し扉が開き、下りの階段が続いていくような、秘匿性の高いところだった。
 あまり人が来ないこともあって、エリア内はとても清潔で、しかも設備が充実していた。
 ところどころに、土木作業用の道具が置いてあることを除けば、先進的な研究棟といった感じだし、休憩室の類は、高級ホテルのサロンにも負けないほどの充実度を誇っている。
 この区画に、どれだけの資金を投入しているのか、簡単に想像できる。
「まだまだ潜るわよ。仲間が待っているところまでは、結構距離があるわね」
 もっとも、松下たちは、ただ漫然と見て回っているわけではない。
 今日子の仲間と会って、情報交換をするために、歩を進めているのだ。
 うまく先行して潜り込んだ仲間と会うため、こちらもどんどん先へと行かなければならない。
 ただ、地下へ地下へと進んでいくうちに、不安めいた感情が募ってもきた。
 清潔で快適な空間なのは結構だが、生活感がまったくなく、廊下の広さも同じで変化がないというのは、不気味なものだ。
「ね、ねえ、今日子ちゃん。本当にこっちで合ってるの?」
「……だと、思うんだけど。話もそうだけど、気配も感じるし……」
 千夏の不安気な声に、今日子はしきりに首をひねっている。きょろきょろと周囲を見回している姿に、普段の自信は感じられない。 それでも、しっかりと道順は記憶しているようで、松下たちは、迷わずに地下深くへと進んでいくことができた。

 

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