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南関東文科大学 タイムカプセル発掘隊 最終話 埋蔵された巨謀(12)

   

地下で会った男からの言葉をヒントに、松下たちは、海外の権力者が多く集う、船上パーティへの出場にこぎつける。

松下たちに課せられたのは、パーティ内のイベントで、一応の力をお披露目できさえすれば、合法的に脱出がかなうという、ごく簡単な条件だったのだが……

 

 明かりのない、泥の中を、松下は泳いでいた。夢、悪夢だということは分かっている。
 だが、自力では目覚めることができない。
 覚めることのない夢は、すなわち、「現実」である。
「くっ、誰か、誰かいないのか……!?」
 訳も分からず放り込まれた、最悪の「現実」の中で、松下は叫んだ。
 しかし、どこからも声は返ってこず、代わりに、泥の温度がどんどん上がってくる。
 服の中に入り込んだ泥は、いくら体をよじっても払い落とすことはできず、その熱によって全身を苛む。
「がああああっ! う、うわあああっ!」
 松下は苦悶の叫びを上げ続けた。痛みが増し、意識がどんどんと鋭敏になっていく中で、前に進むこともできず、ひたすらもがくことしかできない。
(……何だ、これは?)
 無造作に振り回していた右手に、何かがぶつかった。
 浮遊物で、しかもかなり大きい。
 松下は、考えるよりも早く、「それ」にしがみついていた。苦しさから逃れたい本能が、理性を上回っていたのかも知れない。
 幸い、その物体の浮力は強く、松下が上体を引っ掛けても、沈むことはなかった。

 

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