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ノンジャンル

和風男子の食事

   

俺はこの世で父親が一番嫌いだ。

※ホラーでもミステリーでもありませんが、作中に多少グロテスクな表現を含みますので苦手な方はご遠慮下さい。
また、食事中の方は読むのをお控え下さい。

 

「よし。始めるか」
 手を合わせて一礼した。

和風男子の食事

 この世の中で父親が一番嫌いだ。
 厳格で昔かたぎな父親は、まるで戦争時代の兵隊のごとく、一本筋の通った日本男児だったが、いかんせんその一本筋というやつは鉄より硬く屈強で、とんでもなく頑固でもあった。
 挨拶に始まり、立ち居振舞い、言葉遣い、箸の持ち方、鉛筆の持ち方、服の着方、果ては眠る時の格好ですら厳しく指導された。
 一人息子というのも大きかったのかもしれない。あるいは父親が、大工という、とてつもなく職人気質の男くさい職に就いていたからかもしれない。言い出せばキリがないが、とにもかくにも俺は父親に、しつこく、色んな事を父親の言う通りに、思い通りになるまで、時間をかけて厳しく育てられた。
 それは確かに愛情だったのかもしれない。愛でなければ、あんなにしつこく一つの事を延々と指導出来るはずもない。憎しみであれば指導は言葉ではなく暴力に変わっていっただろう。厳しい人ではあったが、不思議と手をあげられた記憶はない。
 だが、それもまた、弱い者に対し暴力をふるってはいけないという、父親の中では一つの規律だったのだと思う。

 

-ノンジャンル


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