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幻影草双紙6〜第二次大戦秘話〜

   

 記録に残されない極秘任務。
 生還不可能の特攻作戦に若者達が立ち上がる。
 その若者を見送る、可憐な百合の花……。
 あ、いけない。
 別の長編小説と混同しました。
 とにかく、大戦秘話なのです。

 

 ロンメルが北アフリカで活躍していた頃。
 イギリス陸軍のアルドリッチ准将が、サハラ砂漠で行方不明になった。
 砂嵐で不時着する、という無線を最後に、消息を絶ったのである。
 チャーチルは、ただちに捜索を命じた。
 アルドリッチ准将は、ヨーロッパ侵攻作戦の立案者の一人であった。
 もし彼が敵の捕虜になったら、大変なことになるのだ。
 大規模な捜索が開始されたが、何の手がかりも発見できなかった。
 現代ならば、サハラ砂漠全域を衛星写真で調べることも出来る――。
 しかし、もちろん、当時はそんなものはない。
 飛行機すら、プロペラで飛ぶ時代である。
 広大なサハラ砂漠で人間一人を捜すのは、ほとんど不可能なことであった。
 しかも、捜索する位置が違っていたのだ。
 准将を乗せた飛行機のコンパスが故障しており、無線で連絡した位置と実際の位置は、正反対なのであった。

 破損した飛行機の中で、生きていたのは准将一人だけであった。
 左肩を脱臼しただけであった。
 夜、星座で位置を確認した。
 無線で知らせた位置とは、はるかに離れている。
 捜索は期待できない。
 准将は、歩いて帰ることにした。
 飛行機の中を探し、3つの水筒とビスケット1箱を見つけた。
 これしかない――。
 しかし、ジョンブルの根性だけは、あふれるほど持っていた。
 夜明け前、涼しいうちに歩き出す。
 すぐに太陽が昇り、焦熱地獄となった。
 脱臼した肩が痛い。
 それでも、准将は歩き続けた。

 

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