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南関東文科大学 タイムカプセル発掘隊 最終話 埋蔵された巨謀(16)

   

「龍人」の少女たちが繰り出す様々な技は、松下たちにとって過酷なものだった。

絶対に負けるわけにはいかない松下たちは、経験とチームプレーで巧みに対応を続けるが……

 

「くく……っ!」
 松下は、ふらつく頭を激しく振って、どうにかバランスを取った。
 だが、その場から動くことはできない。
 消耗がきつ過ぎて、立っているのがやっとというのが正直なところだ。
「空気、を使っているんだ。どこにでもあるし、どうとでも変化させられるからな。君の近くにもいたんじゃないのか。風を使える人間が」
 フィステンの言葉に、松下は、「白波」でのシュウの行動を思い出した。
 確かに、才能と適切な努力があれば、身の回りに普通に存在するものだけに、操ることができるようになっても不思議ではない。
 もっとも、松下を取り巻く状況は、回想に浸ることをまったく許してはくれない。空気を切り裂いて、無数の見えざる「弾」が、松下たちの方に降り注いでくる。
 大部分はフィステンが反応し、打ち落とすのだが、それでもかなりの数の「弾」が、松下たちの方に飛んでくる。
 かわした場合はもちろん、手で払いのけても「タッチ」は成立しないという解釈らしく、延々と攻撃が止まない。
 フィステンが怒ったのが効いているのか、過度に硬い「弾」はぶつけてこないが、雪玉ぐらいの硬度があるものや、フレークのように柔らかいもの、クッション的な重みのあるものなど、様々な「種類」を使い分け、松下たちに叩き込んでくる。
「くっ!」
 天井にへばり付いた状態からさらに飛んでかわそうとしたが避け切れず、一撃を受けた千夏の呻きに気を取られ、注意を逸らした松下の腕に、何かが絡み付いた。
 抵抗するよりも早く、見えない力に右腕を引っ張られ、さらに、ぽん、と投げ飛ばされ、松下は気付いた。
(掴まれたっ……)
 松下は、「空気」によって、手首を掴まれ、壁面に叩き付けられていたのである。
 実際に手で握られるのなら、グリップ力の弱い方向から抜けることもできるが、空気は完全に力が均等で、されるがままの状態を強いられてしまう。
「タッチ」したということで、相手がすぐに「解放」してくれていなかったとしたら、完全に関節を固められてしまっていただろう。
「キリがないっ!」
 巧みに見えざる「弾」をかわし続け、それでも数発を体に受けた今日子が狼狽した。
 よく見ると、今日子の体は一メートルぐらいの間隔で、陽炎のように明滅している。
 だが、そんな「分身」の技をもってしても、「龍人」の目からは逃れられない。
 松下にしても、首の後ろを粘り気のある風にがっしりと「掴まれ」、ボディに「弾」を連続で叩き込まれていた。
 慌ててガードを下げると、空いた顎に重い一撃を貰い、松下は、壁に背中をもたれさせる体勢を余儀なくされる。

 

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