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南関東文科大学 タイムカプセル発掘隊 最終話 埋蔵された巨謀(17)

   

ダメージを受けながらも、「鬼ごっこ」を優位に進めていた松下たちだったが、レビンたちに新たな「ゲーム」を突き付けられる。

人質となった新藤の身柄を「綱引き」の材料にした、龍人との「トレーニング合戦」は、松下たちの体力を一気に奪っていくのだった……

 

 レビンが生み出した「スクリーン」の中で、新藤は、縛られた状態でがくりと首を垂れ、完全に気を失っている。
 傷跡はまったくないが、顔色は蒼白で、眠っている時とは、はっきりと様子が異なる。
「あ、あんたたちっ、とことん腐っているわね!」
 松下の感情を代弁するように、千夏が声を荒げた。今日子は、汚物を見るようなまなざしを、どこにいるか分からないレビンへ向けている。
 松下たちは、完全に爆発寸前の状態にあった。だがレビンは、なおも愉快気に話を続ける。
「くくく、そんなに怒るものではない。こちらは、命を取らないと言っているんだ。それとも、気が変わってもいいのか?」
「ぬうう……」
 松下の歯ぎしりに、レビンは嫌な笑い声を上げた。
「そう。君達は大人しく聞いていればいい。今回の勝負には、新藤君の将来という『商品』がかかっている。『数字』を稼げば稼ぐほど、縛られている彼の体は、自派の方に近付く。つまり、君達が勝てば新藤君はそちらに帰ってくることになる。だが逆に我々の側が最終的な勝利を収めれば……」
 レビンの声と同調する形で、縛られている新藤のはるか上方に、移動式のゴンドラが、すっと滑り込んできた。
 ゴンドラの上には、ふわふわとしたした白い服を着た、温和そうで、しかも快活な瞳を持った、人類の平均よりもかなり美人の「龍人」の少女が立っていた。
 背丈も新藤と、ちょうど釣り合いが取れている感じである。
 レビンが、自信満々の声で続けた。
「私達が新藤君を頂く。ちょうどここにいるファロンが、婿探しの時期にある。新藤君には、『龍人』とのハーフになってもらい、子孫繁栄に尽力して頂く。我々の体液を受けるだけだから、時間はかからない。どうだ、こちらの誠意は伝わっただろうか」
「ふざけるなっ! お前らは、人の心を何だと……!」
「話をしている暇はあるのかな?」
 檄昂した松下を、レビンがせせら笑うと、同じ部屋にいる「龍人」たちが、一斉にスクワットを始めた。
 天井に映し出された新藤が、ほんの少しずつ上昇していく。

 

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