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南関東文科大学 タイムカプセル発掘隊 最終話 埋蔵された巨謀(18)

   

粘液が細かく微振動を始めたことで、松下たちの体力はさらに削られていった。

精神的に追い詰められて暴走し、手痛い反撃を受けるという悪循環の中で、松下は、「龍人」たちの「隙」に気付くのだが……

 

 微振動を始めた水は、まるで意思を持っているかのように、松下の足腰に絡み付いていく。
 水の温度が二十度も上がったような気がする。
 だが、実際は違う。熱く感じるのは、自分の筋肉のせいだ。筋繊維が激しく動いて、熱を発しているのだ。
「ま、まずいっ、このペースだと、あっと言う間に体力を絞り尽くされるぞっ。私でも、三十分は持たん!」
 フィステンは、相変わらず狼狽していた。
 今までの彼からは想像も付かないほどの変わりように、松下も不安と恐怖を覚え、つい声を荒げた。
「一体なんだってんだ、この粘液の変化は!?」
「筋力トレーニングマシンと一緒なんだ。君達に親しみのあるものにたとえるならな」
 フィステンの言葉によって、松下は脳裏に一つの器具を思い浮かべることができた。
 腰や手足に巻いて、部位に細かな振動を与える、ベルト状のマシーンだ。
 何をしていても自動的に筋力が鍛えられるので、重宝している人間も多い。
 ただ、筋肉を鍛えるということは、筋繊維を破壊した後の超回復を待たなければならないことを意味するわけで、度を超したマシーンの使用は、筋肉をずたずたに破壊してしまう。
 使っている最中に睡眠薬を飲んでしまい、負傷でシーズンを棒に振ったプロ選手もいた。
「ぬうう……っ!」
 松下は、どんどんと緊張の度を増す筋肉の状態に呻いた。
 こんな中で能動的に運動をするのは、ほとんど自殺行為だ。
 だが、吊されている新藤を上昇させないためには、負荷の高いトレーニングを続ける必要がある。
 松下は、仕方なく、再びその場で腿上げ運動をすることにした。

 

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