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南関東文科大学 タイムカプセル発掘隊 最終話 埋蔵された巨謀(20)

   

松下たちが「龍人」と激闘を繰り広げていた頃、シュウは、「龍殿島」攻撃計画を食い止めるべく、元々の上司の本拠に攻め込んでいた。

世界最強の私兵集団、「獅子騎兵団」の司令部は、シュウと考えを同じくする無数の友軍によって包囲されていたが、さすがに反撃も凄まじく、シュウですら経験がないほどの激戦が繰り広げられていくのだった……

 

 夕闇を切り裂くように、機体の群れが進む。
 空を行く彼らは、飛行機というよりも、巨大な輸送船団に近い雰囲気を有している。
 その中でも、群れの中央に位置する機体は、ひときわ大きく、石油タンカーと戦艦の「意思」を併せ持っているようにすら見える。 実際、「鉄の星」、「鉄星」と称されるその機体は、左右各四枚の翼と、二十問のエンジンを備えており、ヘリコプターのような静止性を発揮するための翼も内蔵されている。
 アクロバティックな動きや超音速飛行を別にすれば、完全な安定性が期待できるという、常識外れの機体だった。
「悪い冗談、と、形容すべきでしょうかね」
「鉄星」の副操縦席で、美貌の若者が呟くように言った。
 額や頬には大きな傷跡が残っているが、その生々しさも、凄みのある美貌に転換させてしまっているのが、彼が並の美男子とはまるで違うところだろう。
「何がだ? シュウ」
 自分より十歳ぐらい年上の、いかにも歴戦の傭兵といった感じの男に問われたシュウは、端正で細い人差し指を、下に、激戦が繰り広げられている地上に向け、応じた。
「全て、ですよ。僕がまさか財産の九割以上を投じて、あの方たちに歯向かったことも、その計画が、今こうして成就しようとしていることも、およそ普通の話ではありませんよ。後世の歴史家は、首をひねるでしょうね。白井さんは、確か大学院で歴史を学ばれていたんでしたね」
「おいおい、えらく昔の話を持ち出すな。遊びみたいなもんだよ。プロの教授たちに比べりゃあな」
 白井と呼ばれた男は、洗練された動きで、軍服の胸ポケットに入っていたタバコを取り出し、くわえた。
 白井の太い指先が、タバコの先端を撫でると、煙と香ばしい匂いが、機内に広がる。 指の摩擦だけで、火をつけたのだ。
 白井は、ふうっと煙を吐いてシュウに視線と言葉を送る。
「例の、「島」での話に比べれば、ずっとマシな話だよ。実際、あんな映像が流れてきたら、『作戦』はやれない。付き合わされるなら、もう『軍人』ではいられない。それが、俺たちの総意だったってことさ。誰につくか以前の問題だよ」
 白井は、今、遠く離れた場所で起こっている事件を、淡々と語った。
 冷静な口ぶりのままでいられるのは、送られてきた映像を見てから、大分時間が経ったためだろう。

 

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