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南関東文科大学 タイムカプセル発掘隊 最終話 埋蔵された巨謀(22)

   

シュウたちは、友軍の死体で構成された高い壁の前で、強烈な銃撃に晒されていた。だが、仲間の捨て身の攻撃で崩れた穴に向けて突撃すると、一気に敵の防陣に攻め込んでいく。

強さを唯一の価値観としてきた「獅子」たちの「最後」を、シュウたちは血塗れになりながら満喫していた……

 

「彼、ですね」
「ああ、そうみてえだ」
 シュウと白井は身を屈めつつ、言葉を交わしあった。
 今、味方を吹き飛ばしたのが、「鉄星」を破壊してのけた者だと言うことは明らかだった。
 対艦船用機関銃を、狙撃用のライフルのように使い、撃ってきている。あの巨大な弾の前では、いかなる鎧もまったく意味をなさない。
「ぬうう……」
 次々と押し寄せてくる味方の兵士が、人でできたボーダーラインに肉薄し、隙間から銃を差し込み応戦しようとして次々に倒れ、あるいは、手榴弾を投げ込もうとしたところを撃ち殺されていく状況の中で、シュウは小さく呻いた。
 シュウのずば抜けた判断能力は、いち早く敵の防衛態勢の全容を把握したが、手が打てないのだ。
 進めばまず助からないし、退いても背中を狙い撃ちにされるだけだろう。
(目ではまず間に合いませんね。気配で読むしか)
 シュウは、一見何の違いもない人垣の隙間に存在する「違和感」を巧みに察知し、忙しく身をかわしていった。
 頭を沈めたシュウの髪を、小銃の弾がかすめ、シュウが十センチだけ跳んだことで生じた空間に、拳銃弾が突き刺さる。
 敵の守備隊のほとんどが、無造作に肉薄し攻撃を試みる兵たちに向けられているのは明らかだったが、シュウたちが狙われていることもまた、事実だった。
 もっとも、戦っているうちに、シュウたちも場に慣れ、ただやられるだけという状況からは脱しつつあった。
 直線的で隠れることのない銃の気配は、ある意味、読むのは難しくない。
 槍のように飛んでくる殺意を察知して、別のところに身をかわしていくだけ、ではあるのだが、やはり容易な話でもない。
 ダンサーのようにサイドステップし、前転し、とんぼを切って銃弾をかわしていかなければならない。
 だが、一つミスれば死が待っている危険極まりない「ダンス」を、シュウたちは完璧にこなしていった。それも、時に反撃というパフォーマンスを盛り込みながら。

 

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