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幻影草双紙14〜続男と女〜

   

 所詮、この世には男と女しかいません。
 そうじゃない人もいるだろう、という声が聞こえて来そうですが……。
 遺伝子レベルではオスとメスのどちらかなのです。
 あ、内容は分子生物学の話ではありません。
 念のため。

 

場所:アフリカ、東部の丘陵地帯
時代:五万年前
 女が灌木の後に隠れている。
 男が歩いてくる。
 足が太く、胸板が厚い。
 肩も盛り上がっている。
 間違いない。
 女が、かねてから目を付けていた男である。
 男が通り過ぎる。
 女は、忍び寄って棍棒を振り下ろした。
 女は、気絶した男を洞窟へ引きずり込んだ。

場所:イギリス、ロンドンに近いハットフィールドハウス
時代:十六世紀中頃
 女は、椅子に座ったまま、待っていた。
 眼を閉じて、姿勢を崩さない。
 周りに控える枢密院の者たちも、沈黙したままである。
 使者が到着する。
 使者は、お辞儀をすると、荘重な口調で言った。
「メアリ女王様が崩御いたしましたこと、謹んでご報告いたします」
 女は、立ち上がると、枢密院の面々に宣言した。
「私は、国家と結婚します」

場所:アメリカ、オレゴン州の牧場
時代:十九世紀後半
 女は、馬を駆って家へ急いだ。
 その後から、男が追ってくる。
 男は、女の背中へ向かって言った。
「おい、待てよ。そんなに急がなくても……」
 女は、振り向きもしない。
 家へ着くと、中へ飛び込んだ。
 壁からショットガンを取り外す。
 銃を片手に外へ出たとき、男が到着した。
 女は、ショットガンを男に向けて、怒鳴った。
「さあ、はっきり言って!」

 

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