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南関東文科大学 タイムカプセル発掘隊 最終話 埋蔵された巨謀(24)

   

レビンが放った渾身の蹴りは、松下が背中のリュックに満載した缶詰を、残らず破壊した。

賄賂にでもなるかと松下が持ってきた缶詰は、強烈な匂いを放つ発酵食品だった。その臭気にやられ、レビンは完全に悶絶する。

だが、元々の実力が違い過ぎるため逆転するには至らず、松下たちはいよいよ絶対絶命の危機に陥っていった……

 

 もうもうと鈍色の煙がたちこめる室内で、松下は、鉛のように重くなった体を引き起こし、フラフラと前に進んだ。
 膝から足首までまんべんなく震えがきているのに、まだ歩けるのが不思議だった。
「ぐおおお……」
 目の前でうつぶせに倒れていたレビンが、地鳴りのような呻きを上げて、立ち上がった。
 どうやら、松下が期待していたような、負けを認めてくれるような展開にはならなかったらしい。
 死ななかったのはいいとしても、追撃の手立てはない。
 レビンは、フラフラと頭を揺らしながら、途切れ途切れに呟く。
「に、人間がっ、や、やってくれたな。一体、何なんだ、これは……」
「単なる食べ物だよ。あんたらにゃあ分からんだろうが、人間は、食への関心が強くてね」
「だからって、こんなものまで食べるというのか……!」
 レビンは、驚くように、嘆くように言いながら、足元の缶詰に、視線を落とした。
 室内に転がっている、封が開いた缶詰の中身こそが、今、部屋中を覆っている、臭いというにはあまりにきつく、暴力的な臭気の原因だった。
 缶詰の中に入っていた食品、「匂いサメ」は、確かに美味だが、臭いもまた、比類なく強烈だった。

 

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