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ラブストーリー

もういちど、すきって言ってもいいですか 2

   

カレの指があたしのふくらはぎにそっと触れる。

筋肉の隆起を確かめるようなその指使いに、あたしの喉は声にならない吐息を漏らした。

――なんて、いじましい妄想を10年も続けていれば、少しは女っぽくなれたかしら。

本当のあたしは、あのことにこだわりすぎて一歩も前に進めない。

 

「藤井先生、この通り。もう大会にはエントリーしちゃったし、せっかく経験者で実力があるなら、眠らせとくなんてもったいないじゃないですか」

「だーかーらー、屋外のフットサル大会なんて出ませんってば。いくら経験があるっていっても、名前ばっかりの主将だったし、もう高校で引退してから十年もボール蹴ってないんですよ?それも男女混合大会でしょ?役に立つ訳ないです」

「大丈夫ですよ。俺、高校までテニス部でしたけど大学入ってやらなくなったんです。でも去年ラケット持ったらラリーできましたし!」

「いや、そういう問題ではなくって。それにたとえ身体が覚えていたとしても、所詮女子のサッカーですよ?男子レベルで動けるわけないです」

「またまた、主将やってた人が謙遜を。大丈夫ですよ、男子ったって素人みたいなもんの集まりですし」

「謙遜じゃなくて、まず長時間走れなくなったし、もうボール蹴る筋肉もすっかり落ちたから蹴れるかどうかも分からないですってば」

「大丈夫ですよ。部活でやってた運動のことは、体って意外と覚えてるもんですよ。俺たちのチームはまだ作ったばかりで実績もないし、エントリーできたのは地域リーグの一番下レベルの超スーパービギナークラスですよ。女性の混じっているチームもあるそうですから、きっと藤井先生が一番上手いですよ」

 

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