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南関東文科大学 タイムカプセル発掘隊 エピローグ(完)

   

「島」から生還した松下は、大学を卒業し、社会人になっていた。マスコミ関係の仕事に就き、良い結果を出してはいたが、その一方で、仲間たちとは疎遠になり、かつてのスリルとは程遠い生活を送っていた。

だが、ある日松下に、一つの連絡が入る。それは、危険で、魅力的で、松下の「業」を呼び起こすには十分過ぎるものがあった……

 

「はいっ、本番行きます! 3・2……」
 俺の耳に、ADの大声が響く。
 俺と同年代、二十代半ばの若者だ。
 ゆくゆくはディレクターになり、番組を仕切るプロデューサーへと出世していくのだろう。
「……はいっ、今日もやって参りました、『白帯秘伝』のお時間、本日は、マーシャルアーツ・プロフェッサーの松下さんにお越し頂きました!」
「……こんにちは」
 すっかり顔なじみになった、ケーブルTV局のアナウンサーに紹介され、俺は頭を下げた。
 大学を出てから、俺はこの番組のレギュラー解説者として、報酬を貰う立場になった。
 たまたま立ち寄ったところで行われていた、出演者一般公募に参加したことがきっかけで、今では解説者としてのポジションについている。制作側には気に入られている。
 もちろん、番組側が求めているのは、俺が「島」から持ち帰った、「秘伝」の数々だ。
「松下さん、今日は、どんな技を教えて下さるんですか?」
 アナウンサーのフリに、俺はにこりと笑って頷いて、両手を卓の前に出す。
「そうですね、今日は、この両手を主に使った『遠当て三種』をご紹介しようと思います。ちょっとしたコツで、直接触れることもなく、相手を倒したり、態勢を崩すことができるんです」
「おおっ、それはすごいですね! まるでゲームや映画の世界ですね! 誰でもマスターできるんですか?」
 リハーサルの時より、五割は高いテンションで、俺の隣りにいる男性アナが驚く。
 元々芸人志望だっただけはあり、反応の鋭さは、キー局のアナウンサー以上のものがある。
 俺は、自信あり気に、再び頷き答えた。

 

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