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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

自称天才数学者の推理記録 記録1 第3話

   

 記録1《立ってるものは親でも使え》

 大学関係の知識につきましては、N氏に教わりました。
 (頭文字は同じですが、柔道のN氏とは別人です)

 

 神田刑事から「新しい発見がありました。すぐ来てください」という電話を受け、榊原警部は、明治桜花大学の国文学研究室へタクシーで駆けつけた。
 そこには、神田刑事と、准教授の秋山重夫がいた。
「警部、これを見てください。秋山先生が見つけました」
「ん?」
 神田刑事が差し出した大学の用箋には、ワープロで次のような文が書かれていた。

[画像参照]

(手紙については、画像を参照してください。
この資料は、榊原氏のご厚意によるものです。
なお、ケータイのカメラによる撮影なので、少し見づらいかもしれないことを、お断りしておきます。)

 榊原は、ざっと目を通したあと、秋山准教授を見て、説明を促した。
「入試原案の封筒に入っていました。それですぐ刑事さんに連絡したんです」
「入試原案? どういうことです」
 榊原は、事件の捜査で秋山と接するうち、彼が、責任あることからは出来るだけ逃ようとする性格であることを知った。
 妙に神経質な態度なので、最初のうちは、何か隠しているのではないか、と疑ったこともある。
 しかし今では、これまでは教授の後ろにいればよかったのに、教授が死んで、いやでも正面に立たざるを得ず、いらいらしているのだ、ということが分かった。
 もっともそれだけに、自分に関係しないことならば、聞かれないことも話すので、榊原としては重宝していた。
 秋山によると、春木教授は、半月ほど前に、来年の入試問題の原案を作成して入試委員会に提出したのだそうである。
 そしてこの半月の間、入試に関するさまざまな打ち合わせがあった。
 今日、すべての計画・予定が整ったので、試験問題の原案が、入試作業の日程表といっしょに、まとめて各教科の研究室へ渡されたのだった。
 文学部の研究室へは国語の問題の原案が渡された。
 これから国語の入試問題を作るのである。
 もちろん、本来ならば春木教授に渡されるはずなのであるが、かわりに秋山准教授が受け取ったのであった。
「春木先生が原案を出されたのは、正確にはいつですか」
「六月三十日です」
(事件の直前だ)
「それから今日まで、原案はどこにあったのですか」
「担当室の金庫です」
「担当室?」

 

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