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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

自称天才数学者の推理記録 記録1 第6話

   2013年4月25日  

 記録1《立ってるものは親でも使え》

 本編を創るにあたって参考にしました文献は、本文末に記してあります。

 

 一時間後、榊原から借りた携帯電話が鳴った。
 暗証番号を入れて、話す。
「浮世絵の額の後ろから紙の束が出てきた。汚職の証拠になる金銭出納簿だと思う」
「殺人事件の犯人の名前は書いてあったか?」
「くわしく調べないとなんともいえないが、ざっと見ただけでは、個人名は書いてない。
 汚職用の帳簿だから、それはそうだろうな。
 だが、春木教授の暗号に田中とあったし、汚職の帳簿も出たんだから、とりあえず参考人として呼んで、あとはじっくり田中を尋問するさ。
 その辺のテクニックは任せてくれ」
「参考人として呼ぶのはいつになる」
「今晩、この帳簿を調べるから、明日の朝になるだろう」

 次の日、桜小路は、南洋テレビのプロデューサと京都へ出かけた。
 寺の屋根の形を幾何学的に解説する、という企画があり、それの下調べなのである。
 榊原から、田中を拘留した、という連絡があったのは、新幹線が京都駅へ着く直前であった。
 半日、京都の寺や神社をめぐり、祇園の料亭で豪勢な昼食を食べた後、桜小路は、「ちょっと失礼します」と言って庭へ下りた。
 庭の隅ならば人に話し声を聞かれる心配は少ない。
 携帯電話で榊原を呼び出す。
「進展はあったかい?」
「まだ口を割らない。知らない、と言い張っている」
「田中が警察に呼ばれたことは、みんな知っているだろうな」
「もちろん、明治桜花大学中に知れ渡っているよ」
「それから半日経ったんだから、東藤は安心しているだろう。
 そういった心理状態のときに上手くカマをかければボロを出すんじゃないかな」
「なんのことだ?」
「犯人は東藤さ」

 

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