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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

その果ての刃 番外編

   

湯江刑事と芳本刑事が担当した事件から2年が過ぎていた。
湯江刑事の過去を芳本刑事が独断で調べた結果とは――

※この作品は「その果ての刃」本編の番外編になり、芳本刑事視点で話が進んでいます。
本編は湯江刑事視点です。

 

 あの事件から2年が過ぎた年の夏、梅雨が長引き平年より気温が低く、このまま冷夏で秋が来ると思っていた俺の期待を裏切り、日々30度越えの真夏日が続いている。
 事件解決の功績を評価され、警視庁に戻ってこの1年、殆ど無休で働き続けた俺は、たまりにたまった有休を全て注ぎ込み、長期休暇を取り、彼女に会いに来た。

「さつきママ、いる?」

 地下1階、地上3階のビルに以前と変わらずその場所に井沼さつきのクラブはあり、3階にはホストクラブ、そして以前地下にあったピンサロはバーに変わっていた。
 店先で訊ねた若いホステスが、上品に和服を着こなした女性を伴って戻って来たのは、十数秒後。
 俺の顔を見ると、もういいから仕事に戻ってと囁き、和服女性が直に俺の対応をし始めた。
 カウンター席の奥に案内をされ、ボーイがいらっしゃいませと声をかけてくる。

「ここはいいわ。私個人の知り合いだから」

 自らカウンターの中に入り、おしぼりとお通しを出し、何にします? と聞かれた俺は、任せると短く返した。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


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