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幻影草双紙18〜先祖と子孫〜

   

 私なりのオマージュです。

 

 岡本武時は、仏間に座っていた。
 戦国大名に相応しい、立派な仏間である。
 仏壇には、先祖代々の霊が祀られていた。
 一番最近祀られたのは岡本武時の妻である。
 襖が開いた。
「父上、勝太郎、参りました」
「うむ」
 親子は対座した。
「この仏間で申し述べるのが、ふさわしいと思うてな」
「何事でござりましょう」
「手紙が参った」
 岡本武時は、脇に置いてある手紙を指さした。
「これによると、槍の師匠が亡くなられたそうだ」
「何と……、大先生が亡くなられてから、まだ日も浅いのに……」
「うむ。それで、かねてよりの計画を行うことにする。それゆえ、おぬしに家督を譲る」
「父上、お話は前から聞いておりますが、私、まだ未熟ですから……」
「この前の合戦で、あれだけの働きをすれば十分」
「しかし、父上のように武者修行もしておりませんし……」
「儂の時とは、時代も地位もちがう。おぬしは、大名の跡取り息子。剣の修行をすればよい、というものではない」
「はぁ……」
「儂の優しさ、それに……」
 岡本武時は、仏壇を見て、話しを続けた。
「母上の強さがあれば、あとは、おぬしの修行次第じゃ。人を統べる者としてのな」
「母上が百姓の出であること、それだけに鋼のような強さを持っていたこと、片時も忘れません」
「その鋼の血がおぬしにも流れているのじゃ。ではいいな?」
「かしこまりました」
「よし。家督一切、おぬしに譲る。ただし、この計画を行うため、蔵一つの財と、幾人かの者達は使わせて貰う」
 岡本武時は、仏壇に向かって座り直し、囁いた。
「大先生も、槍の師匠も亡くなられた……、妻も……、みんな死んでしまった

 

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