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幻影草双紙21〜試験と勉強〜

   

 制限時間以内に答を書き上げなければならない試験、大嫌いです。
 小説を書くのは、制限時間がないから、大好きです。

 

 西田健一は、明治神滝学園の高校二年生である。
 この学校では、中学・高校の六年間の一貫教育を行っている。
 長い伝統と堅実な校風、厳しい勉強で知られている。
 高い学力を誇る名門校なのである。
 設立は明治時代。
 有名な医者が、「新しい時代を担う若者を育てよう」ということで創ったのだ。
 この漢方医の祖先は、陰陽師であったという。
 校名の〈神滝〉は、先祖が、神の宿る滝に打たれて陰陽の修行をした、という伝説からとられている。
 陰陽師の家系は、その時代、時代に合わせた合理的な考えを取り入れて、漢方医に変化した。
 明治時代、漢方医から西洋医学の医者になった。
 また、金持ちでもあった。
「陰陽の秘術で、石ころから黄金を作るんだ」と、もっぱらの下馬評であった。
 真偽の程は分からない。
 金があるのは真実であった。
 その金を使い、学校を創設したのである。

 西田健一の家は、創立者の家系につながっている。
 彼の前には、医学部に入り、医師になり、家を継ぐ、という予定が描いてあった。
 しかし、この予定は、ほとんど絵に描いた餅であった。
 そもそも、明治神滝学園にいることすら、おかしいのである。
 彼が明治神滝学園に入学出来たのは、家系のせいである、とささやかれていた。
 このレベルの高い学校に、彼がいる理由を説明出来るのは、それだけであった。
 有り体に言って、彼の学力は最低なのである。
 ほとんど毎週、土日に開かれる補習授業の常連であった。
 試験は赤点。
 再試でどうやら合格するのである。
 創立者の家系の生徒、ということで先生方が手心を加えていた?
 それが皆無とはいえなかったであろう。
 しかし、それを野放図に認める、緩んだ学校でもなかった。
 成績の悪い者は落とす、このルールは厳然として確立していた。
 西田健一の両親も、それは十分に承知していた。
 それで、複数の家庭教師をつけて、なんとか合格点まで引き上げていたのだ。

 

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