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ラブストーリー

もういちど、すきって言ってもいいですか 5

   

カレの指があたしのふくらはぎにそっと触れる。

筋肉の隆起を確かめるようなその指使いに、あたしの喉は声にならない吐息を漏らした。

――なんて、いじましい妄想を10年も続けていれば、少しは女っぽくなれたかしら。

本当のあたしは、あのことにこだわりすぎて一歩も前に進めない。のに、でも、ほんの少しだけ、半歩だけでも踏み出してみようか。

そんな思いを抱えてあたしは体育館へと自転車を走らせた。
大嫌いな汗にまみれながら――。

 

 自転車のかごにスポーツバッグを放り、ペダルを思い切り漕いだ。
 待ち合わせの時間まではまだ少し余裕があったけど、何か落ち着かない気分をどうにかしたくて全速力で自転車を走らせる。
 そういえば高校時代はテスト前とか不安なときに、むやみやたらと町内をランニングしてたっけ。
 準備運動にもなるし気分転換に丁度いいや、とあたしはひたすらペダルを漕いで体育館へ向かった。
 まっすぐ行けばうちから体育館までは十五分ほどだ。
 けれどまだまだ時間もあるし、と目に付いた曲がり角ごとに進路を変更し時間とカロリーを消費する。
 街中をぐるぐると自転車で走り回るなんて、これも高校生以来じゃないだろうか。

 丁度体育館と高校は同じ方向にあるし、と思い立って当時の通学路を辿ってみることにした。

 

-ラブストーリー

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