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ラブストーリー

赤い傘と真っ赤な口紅 #4

   

梅雨の時期、悪天候になることは珍しくない。
雨が降れば保健室に行く。
そこには卯月先生がいる。
だけど雨が降っているのに先生は休み。
美雨は学校を出て家とは逆方向のバスに乗った。
向かった場所は先生と入ったあのマンション――

 

 翌日も晴れたけれど、卯月先生は休みで会う事はなかった。
 前日、昼休みと言われたのに4時限目終了後に保健室に行ったことを、少しだけ悔やむ。
 そんなあたしの気持ちを天が察したのか、土曜日は朝から強い雨が遠慮なく降っていた。
 あたしは教室に行く事なく保健室に向かったのだけれど、その扉には鍵がかかり、硬く閉じられていた。
 仕方なく教室に向かうと、今日も卯月先生が休みだと知らされる。
 担任から、天候の事もあるし具合が悪いのなら早退をしていいと厄介払いのような対応をされ、あたしはそのまま学校を出る。
 耐えられないくらい具合が悪いのではない。
 気分的に憂鬱なだけ。
 それをどう説明したらわかってもらえるのか、きっと何をどう説明してもわかってはもらえない。
 決めつけたわけじゃない。
 あたしなりに、どうにもならない体質のようなものを説明している。
 どうにもならない憤りのようなものに救いの手を差し伸べてくれたのが、卯月先生だった。
 向こうはそんなつもりはないと思う。
 勝手にあたしがそう思っているだけ。
 保健室にいさせてくれる、それだけでもかなりの救いだったから。
 その保健室に入れないと、あたしの居場所は本当にないんだと改めて感じる。
 学校を出たあたしは、家とは逆の駅に向かうバスに飛び乗っていた。

 

-ラブストーリー

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