幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

自称天才数学者の推理記録 記録2 第7話

   

 記録2《チャンスが来たら、死ぬ気でつかめ》

 あらゆる創造活動は、まずなによりも破壊活動である(パブロ・ピカソ)。

 

 桜小路悟一は、謙虚な人間である。
 《奇貨、居くべし》で、東洋テレビの錦織真之から、料亭『小吉』に呼び出されても、怒ることなく、出かけていった。
 丁寧に頭を下げる。
「どうか、私の企画を取り上げて貰えませんか」
 錦織真之は、人物が大きかった。
「まかせなさい」
 それ以来、桜小路悟一は、何度か『小吉』を利用した。
 そして、『小吉』の女将である森井静枝と、知り合いになった。
 粋と婀娜と意地が羽織を着ている年増――。
 テレビ業界でも生き抜いている桜小路悟一である。
 潤んだ瞳やガーター付き赤いストッキング程度では動揺しない。
 だが、『小吉』の女将が、「先生、今度、デートしましょうよ」と言うと、ビビってしまうのであった。

 それは、『算士五郎七変化』の準備が進んでいる頃の事であった。
 桜小路悟一は、『小吉』の女将に電話した。
「もしもし、『小吉』でございます」
「桜小路です」
「あら、先生」
「実は……、頼みがありまして……」
「いいわよ。先生の頼みなら、聞いてあげる。なぁに」
「筋としましては、私が行くべきなのですが……。何卒、腰を上げて頂きたく……」
「腰を上げるのね。どのくらい?」
「ホテル・銀座ベルベデーレ」
「まぁ、とうとうその気になったの」
「いやぁ、そうじゃなくて……」
「そんなに怖がらなくてもいいじゃない。行くわよ」
 森井静枝が、ホテルの部屋に入ると、桜小路悟一の後ろには十二人の娘が立っていた。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

自称天才数学者の推理記録 記録2《チャンスが来たら、死ぬ気でつかめ》<全11話> 第1話第2話第3話第4話第5話第6話第7話第8話第9話第10話第11話

コメントを残す

おすすめ作品