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ノンジャンル

1985年、僕らは…… 1通目

   

1985年、当時5歳だった僕にはじめての友達が出来た。

ひとり暮らしをする僕に届いた、実家の母からの荷物。
その中に入っていた2通の手紙。
1通は僕が未来の僕に宛てた手紙、だけどもう1通は?

※ジャンル内容は友情になります

 

 28年前、僕らは出会った――茨城県のつくばというところで。
 当時、つくばではなく筑波だったと思うけど……ま、そんな細かい話はしなくてもいいよね。

◆◇◆◇◆

「へえ~届くもんなんだな」
 幼い頃、転勤の多い父に付き添う母だったが、僕が小学校に入る少し前の年に悩んだ時期があったと言う。
 当時の僕はまだ5歳くらいで、親の真意なんて知る由もなく、ただただ親元を離れ母の実家、祖父母の元で暮らせる事を喜んだものだった。
 幼稚園というものに行ったこともなく、先にも言ったけど転勤が多くてなかなか同年代の友達も出来ないでいた。
 父と母は僕のことをとても可愛がってくれたけれど、それとこれは別のことで、5歳なりに悩みや寂しさのようなものもちゃんとあったんだ。
 その頃の手紙が届くなんて――本当に届くものなんだな、こういうの。
 半年前、親元を離れはじめてのひとり暮らし、33になってはじめてなんて、どんだけ親に頼ってたんだというツッコミはなしで頼む。
 一旦実家に届けられたこの手紙が僕のところに辿り着くまで、28年という年月が経過していた。
 本当は2001年の元旦に届くものだったらしい。
 らしいというのは、実家から送られたこの手紙とは別に、母親からの手紙に書かれている。
 5歳児に、そこまで細かい記憶をインプットさせておくのは無理と言うものだ。
「28年前というと、私が生れた時かな?」
 実家から届いた荷物の中を物色していると、背後から声をかけられる。
 僕の婚約者、紗々だ。
 半年前にひとり暮らしを始めた理由は、これ。
 1年後、結婚をすることが決まった時、半年でもいいからひとり暮らしを経験しろと、父親に追い出された――という経緯から。
 ――が、実際は三か月くらいしか経験していない。
 ほどなくして紗々が通うようになり、いつの間にか住みついてしまったから。

 

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