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幻影草双紙23〜運命と努力と〜

   

 何事かを為すには努力が大切だ、と言われます。
 また、人間には定められた運命がある、とも言われています。
 努力すれば、定められた運命を回避できるのでしょうか。

 

 単なる偶然なのか、それとも隠された因果関係があるのか、それは分からない。
 ともかくも、大きな事故は続けて起きる、というジンクスがある。
 その年では、先ず、ニューヨークの空港でジャンボジェットが着陸に失敗した。
 四日後には、ロンドンの空港で、やはり着陸の時に事故が起こった。
 さらに、それから十日後、マドリッドの郊外に旅客機が墜落した。
 いずれの場合にも、乗客や乗員は全員死亡。
 マドリッド郊外の時は、住宅三十戸が崩壊し、二十六人が巻き添えになった。
 そして、マドリッドの事故の二日後、名古屋空港で離陸に失敗して炎上する、という事故があった。
 この名古屋空港の事故は、それほど大きく取り上げられなかった。
 他の事故に比べれば、事故の規模が小さかったのだ。
 それに、この日、不祥事を起こした大臣の去就が注目を浴びていて、新聞紙面の重要度では、〈大臣辞任か?〉の方が高かったのである。
 紙面を占める大小関係では、名古屋空港の飛行機事故は小さい方であった。
 もちろん、事故で死んだ人の遺族にとっては、これ以上大きな事件はない。
 直接の遺族ではなかったが、大山繁蔵にとっても、この事故は大きな意味を持っていた。

 大山繁蔵が占い師の北辰堂幻花に会ったのは、会社へ入って二年目の時であった。
 当時、彼は、会社で書類と格闘し、くたくたになってアパートへ帰る、という日々を送っていた。
 アパートの近くの飲み屋で、ビールを飲んで定食を食べ、あとは部屋へ帰って寝るだけ、なのである。
 他の事をやる時間も気力もない。
(こんな事をしていて、この先どうなるのだろう……)
 社会人二年目にして、早くも絶望にとらわれていた。
(俺には、会社勤めは合わない……)
 タイミングよく、親戚の者から、工場を経営する気はないか、という話があった。
 もう身体も動かないし、誰か知り合いに工場を譲り、隠居したい、ということなのだ。

 

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