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ラブストーリー

罪咎∞ #3−2【夏の夜の夢】

   

警察から真夜を連れ帰った斗夜と室井だが、彼女の口から保護者の連絡先を聞きだすのに、苦労する。

 

「まあまあ、そう急ぐこともないだろ。真夜ちゃんの家は放任主義なのかな?」
 飲み物を手に、室井が話しに加わってくる。
「そうなんだろう……」
「お前に聞いてないぞ、斗夜」
「へいへい……」
 蚊帳の外というよりは、思いっきりのけ者扱い、構わないけどな。
 優しく諭すように聞き出すという手法は、俺には無理だ。
 室井にそれができるとも思えないが、俺よりは聞き出せるだろう。
「で、どうなのかな?」
 俺が割って入ったことで、室井が仕切り直し、改めて真夜に訊ねる。
 訊ねられた真夜はチラリと俺を見るけど、俺は気づかないフリをした。
 懐かれても困るし、次第に真夜には関わるなと俺の直感が警告を出していたからだ。
 俺が口出ししないとわかると、諦めたのか彼女は室井の方を見て、小さく頷く。
「そうか……けどさ、真夜ちゃんは未成年なわけだし、こう度重なると親に話さなきゃいけなくなる。もちろん、警察じゃないから、その義務はないわけだけど、一時保護している関係上、大人の責任ってやつで、ご両親に直接引き合わせなきゃならない。言っていること、理解してくれるかな?」
「大人の事情というのは、わかるわ。保身ってやつよね?」
「保身? そんな言葉知っているのか。強ち、違っちゃいないが」
 大人の責任といえば聞こえがいいが、早い話、保身であることには違いない。
 ガキというのは、時折大人がドキッとすることを平気で言ってくれる。
 意識してなのか、無意識なのか……
「でも、ちょっと難しいかも」
「どういうことかな?」
「お母さん、あまり私には関わらないから」
「無関心ってこと? だったら尚更直接言わなきゃって思うけどな」
「そうじゃないの……」
「母子家庭だっけ、真夜ちゃんは。仕事が忙しいのかな、お母さん」
「……うん、それもあるかな。ねえ、私は大麻に手を出してないし、今回もこれで終わりにしてくれない? もちろん、あの時の約束を今夜果たすというのも、ありだけど」
 ――と言って、俺を見る。
「見逃して欲しいから身体を提供するという考えは、改心したとは言えないな。それに、斗夜はキミを抱く事はないと思うよ?」
「どうして? そんなのわからないわ。私が子供だからって言うなら、数年後には二十歳になるし、大人よ。条例とか関係ないわよね?」
「……そりゃ、そうだが……て、斗夜。俺はもうお手上げだ。お前、なんとかしろ」
 真夜が一枚上手だったとは思えないが、こういうことをすること自体、俺たちには不向きってことだ。
「俺たちを言いくるめれば、警察のお世話にならないとでも思っているのか? だったら甘いな。俺たちの手には負えませんでしたと、突っ返してもいいんだぜ」
「おいおい斗夜、それって脅迫の一歩手前だろ」
「だったら室井、お前が最後まで責任持てよ。俺はこういうの苦手なんだよ」
「……はいはい、わかったわかった。ということなんだよ、真夜ちゃん。こいつ、やると言ったら必ずやるぞ?」
 よく言う、その台詞の方が脅迫一歩手前だろ、室井。
 ――が、この台詞はかなり効果があったようで、珍しく真夜の方が狼狽える。
「警察は駄目……」
「けどさ、あのまま俺たちがあの場にいなきゃ、確実に親に連絡入ってたと思うけど?」

 

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