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明治桜花大学七不思議 1

   

《自称天才数学者の推理記録2》を執筆するため、明治桜花大学を取材しました。
 いろいろと話を聞いてみると、面白い伝説が出てきましたので、それを書くことにします。
 つまり、《自称天才数学者の推理記録》の《番外編》の《明治桜花大学七不思議》です。
 取材に協力して下さいました大学関係者、および学生諸君に感謝します。
 また、(純然たる小説でない)ルポの掲載を許可して下さいました、幻創文庫の編集部の方々にもお礼申し上げます。

 

 明治桜花大学へは、昨年末から本年初頭、つまり大学の冬休みに行った。
 正味七日ほどの取材であった。
《自称天才数学者の推理記録2》の執筆計画に合わせたため、この時期に行かざるを得なかったのである。
 冬休みなのでキャンパスは閑散としていた。
 今回の取材は、あくまでも《自称天才数学者の推理記録2》のためのものであった。
 大学自体の話を取材するのであれば、(名前の通りの)桜の季節や夏、さらには大学祭の時に行くべきであったろう。
 伝説の〈裏を取る〉のにも、こうした季節に行かなければ、ルポとしては不十分だ。
 この事はよく分かっているが、さすがに、一年をかけて取材する暇はない。
 予定が、ビッシリと入っているのです。
 しかも、このルポを掲載するならば、《自称天才数学者の推理記録2》の〈ほとぼりが冷めないうち〉がよい。
 こうした事情を鑑みて、以前から知っていた事と、今回の取材ノートを整理して記することにする。

 明治桜花大学は、名前の通り、明治時代に設立された大学である。
 百年以上の歴史を持っており、キャンパスには、歴史の重み、というものがある。
 敷地は広大であり、明治、大正時代の木造建築や、昭和時代に建てられた古い校舎などが残っている。
 学問の府、という古風な言葉に相応しい建物が現存しているのだ。
 そして、近年建築された、現代的なデザインのビルもある。
 現代と歴史が混在しているため、怪談にも事欠かない。
 例えば、文学部の二号棟は、昭和後期の建物なのだが、ここのトイレには女の子が棲んでいる、という話がある。
 いわゆる、トイレの花子さん、のパターンである。
 また、理学部の裏の小径には、雨の夜に、白い人影が出る、という話もある。
 これは、当たり前であろう。
 化学実験で白衣を着た学生が歩いているだけの話なのだ。
 こういった怪談は、新入生が、興味を引くため、高校時代のうわさ話を焼き直して作ったものが多い。
 そのような新入生も、大学に慣れてくると、明治桜花大学自体が持つ不思議な話を知るようになる。
 不思議な話には、わざとらしく作ったことがミエミエのものもあれば、作り話だとして一笑に付すことの出来ない伝説もある。
 長い年月の間、さまざまな話がさまざまなパターンで流布している。
 だが、それらを整理すると、次の《七不思議》となる。
 大学公認の七不思議。
 これは冗談。
 大学が公認する筈はないが、歴代のOBが語り伝えてきた話である。
 歴代のOBによる〈公認〉の伝説なのである。

 

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