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ラブストーリー

罪咎∞ #4【不思議な依頼】

   

斗夜たちは不思議な依頼を受けた。
何がどう不思議なのか…最初に違和感を覚えたのは斗夜だった。
おかしいと思いながらも、斗夜は金髪女とベッドを共にする…

 

 あれからどれくらいの年月が経過しただろうか……あの夏の夜以来、俺は真夜と会うことも思い出す事もなかったが、相変わらず夜の街を徘徊し、黒髪の女性を探している。
 そんなある日の事――俺は室井に呼び出された。
「陽動捜査? また随分と危ない賭けに出るんだな」
 最近は殆ど強行手段のような依頼は来なくなっていた。
「まさかと思うが、女関係じゃないよな?」
 更に言えば、俺にその仕事が回ってくる時の内容の殆どが女関係と決まっている。
「そのまさかだったりするんだな、斗夜」
「マジか……」
「今回は先方の方からも人員を裂いて下さるようで……」
「先方から? ヤクザか?」
「……に近いかな」
「はっきりしないな」
「実はよくわからないんだ。ただこちらが提示した額をキャッシュで払って行ったとかで……しかも、名指しで」
「名指し?」
「この件は、斗夜という人に任せたいってさ」
「俺?」
「どこで知り合ったんだ? なかなかいい女だったって話だぞ。所長曰く」
 女とのひと晩限りの関係、ついこの間もしたが、仕事の話はしていない。
 どんなに酔っていても、どんなにいい女でも、ベッドの中はもちろん、女の前で話した事はない。
 ――ということは、過去に仕事をした関係者か?
 女となると数が多すぎて絞るのは困難だ。
「身に覚えはないな」
「本当か?」
「ああ。その依頼主には会えそうか?」
「いや、無理。連絡先のメアドがある。そこに作戦内容と実施日を知らせてくれと言われている。会うとしたら協力者の方だな。そいつが口を割るとも思えないが」
「……だな。詮索するだけ無駄ってことか。依頼の内容は?」
「男を探しているらしい」
「男? こんな胡散臭いところに依頼するってことは、まともな男じゃないな」
「だろうな。内容としては、呼び寄せたいらしく、自分は他の男の手の中にいると噂を広めたいらしい」
「てことは、俺にその女を抱けと?」
「そういうことだろうな。で、協力者は女。抱けそうな女を用意するんじゃないか」
「へえへえ、随分と協力的なことで。だが、そんなことなら俺でなくてもいいんじゃないのか?」
「さあね。その辺はよくわからないが、所長から伝言だ。名指しの仕事依頼の場合、罠の可能性もある。充分心してかかれ……だそうだ。だったら断れって話だよな」
「まったくだ」
 ――が、そうも言っていられない。
 最近の不景気はこっちにまで押し寄せて、数年前程の利益には程遠い。
 この間なんて、迷子の猫探しなんてさせられたしな。
 そんなの、どこか暇な何でも屋に頼めって話だ。
「――でだ。お前、黒髪の美女でいいんだよな、好み」
「は?」
「いや、ほら。男を引きよせる為に、その男にヤキモチ焼かせるってことだろ?」
「だろうな。だったら、俺の好みじゃなく、引っ張り出す男の好みの女がいいんじゃないか?」
「……ああ、そうだな。よし、そう返事をだしておく。お前、ぽっちゃり系でも平気か? 勃つか?」
「勃たなきゃ、そこら辺の道具使って、あんあん言わせるさ」
「……お前みたいなのを外道て言うんだろうな」
「室井、お前な……まあいいさ。勝手に言ってろ」
 そんなやりとりをしてから二日後の夕暮れ時、俺はラブホテル街として有名な、とある街の入り口で、依頼人が用意すると言った協力者の女を待った。

 

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