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更正屋 ルナ将軍の副業

   

緑色要塞の一件で、当面の利息を返すことができた「俺」だったが、相変わらず、借金を返すアテのない、厳しい現実には変わりなかった。

だが、闇金業者の「竜」から、副業を手伝ってくれとの話が来る。意外なことに「竜」は、「更生屋」という、その名の通り、ワルをカタギに戻す仕事を、副業にしているらしい。

取材のネタになるかも、と、「俺」は「竜」の依頼を受け、更生屋の仕事を手伝うことにしたのだが……

 

「へっ、何だあ、そりゃ。すり替えたと思ったら、先方にあったのも真鍮だったって? 笑わせてくれるじゃんかよ」
 とりあえずの借金の利息、百万円とともに、俺から金の出所と事の顛末を聞いた「竜」は、少し馬鹿にしたような笑い声を上げた。
「ったく、俺に話を持ってかねえから、そんなことになるんだよ。金と真鍮の重さなんて、プロだったら間違うわけねえもんな」
「竜」はそう言って、無駄な贅肉の付いていない、たくましい胸板を反らせて見せた。
 青のスーツに赤いワイシャツ、髪は高校の野球部員よりも短い丸刈りで、顔には傷だらけという、何ともいかつい出で立ちだが、確かに「竜」は金に関するプロだ。
 ただ、カタギではない。
 誰にでも金を貸すが、法外な利息を取る、いわゆる闇金融で生計を立てている。
 無店舗の金貸しが当たり前になっている中、未だに堂々と事務所を構えるぐらいには儲っているようだ。
 一度に調達できる額も多く、そのあたりが人気の秘訣になっている。
「だけどよ、頼んだら金取るわけだろ?」
「当然だろ。俺は仕事はするが、その分きっちり貰えるもんは貰う。だから儲かるし、客だって切れない。実際、そっちから依頼があれば、クレーン車ぐらいは用意できたわけだしな」
まったく悪びれず、「竜」は笑った。
 事実、奴の「会社」は、合法的な金融会社より、ずっと債務者を「大事」に扱う。
 借金の催促以外にもマメに連絡を取るし、仕事の斡旋やトラブルの解決、ヤバい筋の借金の一本化等々、とにかくきめ細かいフォローをする。
 それはもちろん、借金を残したまま夜逃げされたり、警察に駆け込まれたりしないための対策としての行動だが、結果として丁寧であることは確かであり、通報される率の低さとして、その評判はきっちり反映されていたりもする。
 ただ、だからこそ、安易に頼るのは危険だ。
 金が払えないなどと言ったら、親切ついでに、ハリウッド映画に出てくるような孤島での労働を課されることにもなりかねない。「竜」は元々裏側にいる人間だけに、ヤバい労働現場に対して、違和感を覚えることがまったくない。
 一日二十時間の労働という話を聞いても、「なるほど」で終わってしまうだろう。

 

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