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幻影草双紙32〜ビンから出た魔神〜

   

 もうひとつ、千夜一夜物語の異伝です。

 

 女は、浜辺を歩いていた。
 まだ若い日本人であった。
 20歳前後である。
 背は低く、細身であった。
 化粧は最小限で、装身具は、ほとんど身につけていない。
 おしゃれよりも、他に熱中することがあるの、という雰囲気である。
 アラビアの砂浜は、ひたすら暑い。
 海は、ひたすら青い。
 蒼穹には一片の雲もない。
 ギラギラする太陽、空と海、焼け付く砂浜、他にはなにもない場所であるが、女の眼は輝いていた。
 顔が微笑んでいる。
 波打ち際へ寄り、砂と海水の感触を確かめた。
 そのまま、立ち止まる。
 破顔した。
 笑いで、口がほころんできた。
 口が開いてくる。
「ついに来てしまった。感激ぃー」
 我慢が出来ず、ついに、声を出した。
 喜びで、顔が溶けている。
 そして、バンザイをした。
「ヤッホー」
 とうとう、踊り出した。

 

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