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歴史・時代

黒い鷹・尼子秘帳 第四話

   

 黒鷹精久郎は、手入れをしていた刀を鞘に収めると、左脇に置いた。
 芥川行蔵は、黒鷹精久郎に対座すると、言った。
「また人を斬りましたね」
「尋常な試合だ」
「分かっています。でも、こう、次から次へと死人が出ては、かなわない。武士が人を斬る時代は、もう終わったんですよ」
「それを言いに来たのか?」
「それもありますが……、尼子秘帳の事が、少し、分かりましたので……」
 黒鷹精久郎は、黙ったままである。
 だが、興味を示したような目になった。
 芥川行蔵が、話を始めた。
「昔々……、武士が人を斬っていた時代ですな。
 武者修行で諸国を回っていた塚原卜伝は、岩見の国で尼子晴久のもとに逗留した。
 この尼子晴久、戦国の武将として有能だったが、それだけではない。
 剣術にも非凡の才があったようですね。
 麒麟児。
 塚原卜伝に手ほどきを受け、どんどんと上達した。
 とうとう、塚原卜伝が免許皆伝を認めるまでになった。
 その証として塚原卜伝が与えたのが尼子秘帳」
 芥川行蔵が、話を止めて、黒鷹精久郎を、見た。
 黒鷹精久郎は、黙ったままである。
 芥川行蔵が、続けて、話した。
「まぁ、ここまでは、よくある、剣術の免許皆伝の話ですが。
 尼子秘帳は、それだけではないようです。
 塚原卜伝は、諸国を回っていましたが、それは、剣術の修行だけではなかったようですね。
 諸国の自然、風土、産業なども調べていたようです。
 一国の将としての視点ですな。
 尼子秘帳には、そういった諸国の事が記されていたそうです。
 他国を切り盗り、いつかは京の都に旗を立てようという野望を持つ戦国大名なら、のどから手が出るでしょうな。
 ただ、なぜそれを尼子晴久に渡したのか?
 そこのところがよく分からないのですが。
 ともかくも、尼子秘帳は、免許皆伝を認めるだけのものではない、大変な価値があるようです」
 黒鷹精久郎が、言った。
「元亀、天正の時代ならともかく、今では何の価値もなかろう」
「ほとんどはそうでしょうね。
 でも、その巻物に金山や銀山の場所が記されているとしたら、どうですか」

 

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