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歴史・時代

黒い鷹・尼子秘帳 第四話

   

 黒鷹精久郎は、納得したような顔つきになった。
 芥川行蔵が、続けた。
「金や銀が出ることは分かっているが、山が険しすぎて掘ることが出来ない、そんな場所も書いてあるんじゃないですか。
 あの頃は無理だったろうが、今ならば、掘れるかもしれない。
 今、どの大名も台所が苦しい。
 未開発の金山や銀山を記した巻物があれば、のどから手が出る」
 黒鷹精久郎が、聞いた。
「その話、どこで調べた?」
「私は同心ですから、御公儀の書院でいくらでも調べられますよ。
 ほこりにまみれて苦労しましたがね」
「他に知っている者は?」
「さ、そこですよ。
 実は、これを調べるのに、蔵を五つ探しました。
 それで、ようやく、探し当てた古文書の最後の方に、ほんの数行書いてあっただけ。
 誰も知らないでしょうね。
 あなただって、免許皆伝の巻物としか知らなかったのでしょう」
「尼子の関係者なら、その辺の事情を知っていたろう。
 それが、代々伝わっていたかもしれない」
「そうなのです。秘伝として代々伝わっていた。
 ところが、御家の台所が、もうどうしようもなくなって、とうとう動き出した。
 そんな所かもしれないですね。
 尼子は滅亡しているから、広島四十二万石、萩三十七万石、そのあたりに伝わっているのでしょうか。
 ところで、台所が苦しいのは御公儀も同じ。
 尼子秘帳を持っていることが分かったら、御公儀の名で召し上げますか」
 芥川行蔵は、立ち上がって、言った。
「どうです、探してくれませんか?」
「探すのは同心の役目だろう」
「盗人や人殺しを捜すのに、忙しくて。まかせますよ」
「あれは私のものだ」
「頑固ですねぇ」
 芥川行蔵が出て行った。
 黒鷹精久郎は、大刀を見た。
 研ぎに出さなければならない。
 今日中に、研ぎに出した方がいいだろう。
 黒鷹精久郎は、腰を上げた。

 

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