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歴史・時代

黒い鷹・尼子秘帳 第六話

   2013年12月27日  

参考文献:
 『江戸時代館』(小学館)
 『詳細日本史・近世編』(春木宗六監修)

 

 黒鷹精久郎が、尼子秘帳を手に入れたその次の日の朝。
 湯島の聖堂近くの塚原道場である。
 塚原道場の内弟子の門人が、潜り木戸から出てきた。
 道場の前の道を清掃するのだ。
 道場の門に、書状があるのを見つけた。
 小柄で、門に張り付けてある。
 その書状には、『塚原千秋殿 黒鷹精久郎』と書いてあった。
 すぐに、塚原千秋へ届けた。
 塚原千秋は、書状を読み、控えている門人に言った。
「東上様が見えられたら、呼んで下さい」
 塚原道場の稽古は、辰の刻から始まる。
 東上晋太郎は、普段は、稽古開始前から道場に来ていた。
 なにしろ、四天王の一人なのだから、他の門人に対する示し、というものがある。
 だが、今日は、来ていなかった。
 東上晋太郎が道場に現れたのは、午の刻であった。
 門人が言った。
「お嬢様が、呼んでおられます」
 東上晋太郎は、塚原千秋の部屋へ、行った。
「東上、参りました」
「お入りなさい」
 東上晋太郎が、部屋へ、入る。
 塚原千秋は、黒鷹精久郎からの書状を手にしていた。
「今日は、遅いのですね」
「は、急な用事が入りまして。申し訳ございません」
 東上晋太郎は、詫びを言ってから、聞いた。
「お呼びだそうですが、何か?」
「黒鷹様から、書状が参りました」
「え?」
 塚原千秋は、門に張ってあった書状を、東上晋太郎に見せた。
 手紙には、次のように書いてあった。

  塚原殿の仇をお教えする。
  本日、酉二ツ。
  仇討ちの用意をし。
  本郷、大田備中守下屋敷近く、瑞竹寺裏念仏堂へ来られたし。

 東上晋太郎は、驚いた顔をしている。
 塚原千秋が、凛然とした声で、言った。
「一緒に来て頂けますね?」

 

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