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歴史・時代

黒い鷹(二)・巖頭孤鷹 第四話

   

「剣術とは敵を殺伐することなり」

平山行蔵

 

 湯島聖堂の近くに、塚原道場がある。
 名前の通り、塚原卜伝の流れを汲む新当流の、剣術道場なのである。
 塚原千秋は、この道場の、現在の道場主である。
 もともとは、塚原駿郎が道場主であった。
 塚原千秋は、塚原駿郎の娘である。
 塚原駿郎は、非業の死をとげてしまった。
 塚原道場には、四天王と呼ばれる者たちがいたが、ほとんどが、黒鷹精久郎に倒されてしまった。
 こうしたことで、塚原道場は、大きく揺らいでしまったのである。
 しかし、塚原千秋は気丈であった。
 自ら道場主となり、道場を続けていくことを決心した。
 塚原千秋自身も、新当流の使い手である。
 自ら道場に立ち、稽古をつけた。
 確かに、以前に比べれば、門人の数は、あるていど、減ってしまった。
 だが、塚原千秋の努力の甲斐があり、道場は存続していた。
 問題は、黒鷹精久郎である。
 塚原千秋にとり、黒鷹精久郎は、気になる存在となった。
 四天王を斬られて遺恨に思っている、というのではない。
 四天王が斬られたのは、それなりの理由があるのだ。
 それは納得している。
 塚原千秋が気になるのは、黒鷹精久郎の強さであった。
 新当流の使い手として、塚原千秋は、何人もの剣術使いを見てきた。
 強い、と感心する者たちも、沢山いた。
 だが、黒鷹精久郎の強さは、特別であった。
 黒鷹精久郎には、動物的な凄味を感じるのである。
 黒鷹精久郎に剣術を学びたい、と塚原千秋は思った。
 だが、黒鷹精久郎は、道場で木刀を振るうような人物ではない。
 それで、黒鷹精久郎の歩く道筋に待ちかまえて、斬りつけていたのである。

 

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