幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

歴史・時代

黒い鷹(二)・巖頭孤鷹 第六話

   2014年2月10日  

「常に兵法の道をはなれず」
宮本武蔵

 

 塚原千秋と北野正太郎が、再び真剣で試合をする、約束の日。
 酉三つの刻。
 春の日は、もちろん、暮れている。
 曇天で、小雪が舞っている。
 瑞竹寺の裏手である。
 瑞竹寺の裏から、黒鷹精久郎が寝起きしている念仏堂のある竹藪へ向かうあたりが、伐り開かれている。
 裏庭。
 というよりも、使わない道具などを雑多に置いてある、広場であった。
 そこに、かがり火が焚かれていた。
 風がある。
 炎がはげしく揺れ、竹藪が吼えていた。
 かがり火を囲んで、四人が、いた。
 塚原千秋と北野正太郎は、襷をかけた、試合の格好である。
 あとの二人は、芥川行蔵と中清水兵馬であった。
 塚原千秋と北野正太郎は、試合を前に、落ち着き払っていた。
 中清水兵馬は、少し、苛ついている。
 いつ試合を始めるのだ、と思っているようだ。
 そんな中清水兵馬を見て、芥川行蔵が、言った。
「おかしいなぁ。黒鷹さん、どうしたんだろう」
 中清水兵馬が、言った。
「どうします? お二人が承知なら、もう、始めましょう」
「もう少し、待って下さい。黒鷹さんも後見人なのですから」

 

-歴史・時代
-

黒い鷹(二)・巖頭孤鷹<全6話> 第1話第2話第3話第4話第5話第6話

コメントを残す

おすすめ作品