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SF・ファンタジー・ホラー

闇の孔

   

俺の大学の図書室には、謎の小さな穴がある。
正体のわからないその小さな穴は、いったいいつからあったんだろう?

不思議に思い穴に近づこうとする真澄を、その誰かはとめた。

「近づかないほうがいいよ」

振り向くと、そこには、柔らかそうな金髪の、ちょっと生意気そうな美少女(?)がいた。

 

その穴がいつ開いたものなのかは定かではない。
気がついたらソコにあったのだ。

大学の図書室の壁に開いた穴。
それは決して小さな穴ではないのに、誰も気にもとめない。
直径十五センチほどもあるその穴は、図書室の一番奥の壁の中央、ちょうど目の位置にある。
気にならないわけはない。

一番奥のコーナーは歴史書なんかが揃っているコーナーで、あまり人も来ない。
だから気付かないのだろうか?
いや、そんなわけはない。
課題制作や論文作成など、歴史書を必要とする人だって多いはずだ。
誰もここへ来ないなんて事はない。
そして、来れば必ず気付く筈じゃないか、なのになんで誰も気にしないんだろう?

穴の向こう、要するに壁の向こう側は談話室だ。
だから当然、覗けば談話室が見える筈なのだが、真っ暗でなにも見えない。
かといって、それが実は穴ではなく、精巧に描かれた絵だった……なんてオチではなく、触ってみればわかるちゃんとした穴なのだ。

図書コーナーと談話室の間を行ったりきたりして、壁の厚さを目測で考えてみた。
しかしどう考えても、せいぜい十センチほどしかないはずで、この穴の先が談話室でない筈がない。
それなのになぜ、この穴の奥は、真っ黒なんだろうか?
気になって仕方ないので、その日初めて穴の中に手を入れてみた。

何にも触れない?
……と思っていると、何かぬるりとした柔らかいモノにあたった。

「うわっ!」

怖くなって急いで手を引っ込めた。
なんなんだろう今のは……?

言い知れぬ悪寒とともに、鳥肌が立つ、その場を動けない。
立ち尽くしたまま穴をジッと見つめていた。
これは……今のは、いったい何なんだ?

 

-SF・ファンタジー・ホラー


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